近年、普及が急速に進むブログ。ゆえに著作権侵害や企業のやらせ、不正サイトへ誘導させるブログなど、さまざまな問題も増加している。そうした問題へのカウンタープロジェクトとして「Japan Blog Award 2008」が今年新たに設立。日々の生活記録や情報の備忘録など、純粋な気持ちでブログを書いている人々にスポットを当てるというイベントだ。その授賞式が3月4日、東京・代官山のイベントスペース「カラート71」にて開催された。

約3,400ものブログがエントリー

大会の趣旨を説明する「Japan Blog Award 2008」の実行委員長である太田滋氏

今年1月31日から2月18日までの受け付け期間に約3,400ものブログが応募したという本アワード。最終選考に残ったのは7カテゴリー計49のブログだ。その作者が一同に集った授賞式は、実行委員長である太田滋氏の挨拶で開幕。大会趣旨の説明後、それぞれのブログが会場のスクリーンにて紹介され、各部門賞が審査員から発表された。受賞したのはジャーナリズム部門「芦田太郎のブログ」(taro.ashidaさん)、ビジネス部門「税理士森大志(もりたいし)のひとりごと」(税理士森大志さん)、エンターテイメント部門「あたし・主婦の頭の中」(カータンさん)、IT部門「No Mobile, No Life.」(No Mobile, No Life.さん)、スポーツ部門「Junya Traiathlog-Road to Kona」(Junyaさん)、ペット部門「ぺろぺろ日和」(berobuntaさん)、趣味・暮らし部門「産婦人科残酷物語2」(Bermudaさん)の7ブログ。また、このほかブログの社会的価値を向上させたとして審査員特別賞に「目の悪いビジネスマンの一筆」(ミンミンぜみさん)が選出された。

トロフィーと副賞を手渡され、受賞の喜びを語るブロガーの税理士森大志さん。「中小企業の倒産を少しでも減らしたい」という思いからブログを始めたと熱く語ってくれた

スポーツ部門を受賞したJunyaさんとトロフィーを手渡す審査員のスポーツジャーナリスト・義田貴史氏。義田氏によれば「最近は自分より詳しいブロガーが多くて参る」とか

トロフィーと副賞を手にしたブロガーたちは「好きなことを書き散らかしているだけなのに賞を頂いて光栄」(No Mobile, No Life.さん)、「マイナースポーツのトライアスロンの練習日記なのに場違いじゃないか」(Junyaさん)、「私のようにベーチェット病で苦しんでいる方々を励ますために、また、この賞に恥じないようにこれからも頑張ります」と、一様に驚いた様子で喜びを語った。

総合グランプリは二児の主婦が選出

総合グランプリのカータンさんは感極まって涙の受賞に

そしてウェブで投票された計6,591票から、もっとも支持されたブログに贈られる総合グランプリはカータンさんの「あたし・主婦の頭の中」が受賞。家事と育児に格闘する主婦の生活を、ユニークな漫画とともに赤裸々につづった内容のブログだ。受賞の感想を求められたカータンさんは「まだ下の子どもが1歳7カ月なので、公園に遊びに連れていって、昼寝させている間に漫画を描いて、9時に子どもが夜寝てから更新して……けっこう大変だったので辞めてしまおうかな、と思ったこともあったんですが、夫が応援してくれたので続けられました。夫と、私のブログに足しげく通ってくださる方に感謝します」と語り、涙を浮かべて大感激の様子。専門的に特化したものではなく、グランプリに普通の主婦のブログが選ばれるのは本アワードならではの特色だろう。

日本ならではのブログ文化を後押し

公務のため会場には来られなかったが、審査員を務めた宮崎県知事の東国原氏もビデオレターで登場

最後に、審査員を代表して本アワードの感想を求められたブロガーの徳力基彦氏は「ブログというと有名な人が書くんだろうとイメージしているかもしれませんが、このような一般の人を評価するイベントが多くなるともっとブログが面白くなる。ブロガーの一人として感無量です」と挨拶。また、今回は欠席となったが趣味・暮らし部門の審査員を務めた東国原知事もビデオレターで登場して「自分の言葉でブログを書いてほしい」と語り、会場を沸かせての締めとなった。

専門的な内容のジャーナリズム型が中心の海外のブログと比較すると、個性あふれる内容が多く、多様化している日本のブログ。雑記型のブログでも参加できる、このようなイベントが登場したのはブロガーにとっては喜ばしいことだろう。日本におけるブログ文化をさらに盛り上げるためにも今後の展開に期待したい。

「Japan Blog Award 2008」の受賞者(前列)と審査員(後列)

授賞式後に開催された懇親会。同じジャンルのブログを書いているブロガー同士、話が弾んでいた様子

懇親会では一転笑顔のカータンさん。受賞の喜びを伝えたいのに「子供をお風呂に入れている」ので、ご主人に電話が繋がらないとか