【レポート】

子ども時代の思い出がよみガエル?!「国際カエル年」にちなんでカエルを学ぶ

1 知っているようで知らないカエルの生態

    浅倉彩  [2008/03/06]

    2008年が、「国際カエル年」であることをご存知だろうか。水辺と陸の両方がないと生きられないカエルなどの両生類は、現在約半数の種に個体数の減少が見られ、32%の種が絶滅危惧種となっている。国際カエル年は、かれらの危機に対する世間の認識や理解を高めることを目的として、国際自然保護連合(IUCN)や世界動物園水族館協会などが主催する「両生類箱舟プロジェクト(Amphibian Ark)」が行う世界的キャンペーン。そのスタートとなった2月29日の「国際カエルの日」、子どもの頃に排水路のふたを外して追いかけたカエルの生態を学ぶべく、記念イベント開催中の上野動物園を訪れた。

    「両生類箱舟プロジェクト」の国際カエル年バナー

    コオロギにそーっと近づいてパクリ!

    子どものころ、田んぼで捕ったおたまじゃくしを飼った経験を持つ読者も多いのではないだろうか。水槽に砂利をしいておたまじゃくしを放つと、しばらくして足が生え手が生え、最後は尻尾が無くなって小さなカエルになる。筆者はその変身ぶりに目を見張り、尾びれではなく手足を使ってカエル泳ぎをするカエルを数日間眺めてエサを与えずに(放置して)いたところ、死なせてしまった苦い過去がある。水中のプランクトンを食べるのだとばかり思っていたことが、大きな間違いだったのだ。

    東京上野動物園、両生類飼育係の齋藤祐輔氏によれば、カエルは世界に生息する5,500種類のすべてが肉食。つまり日本に棲む50種類も、我が家に飼われた不幸なカエルも肉食だったのだ。毎年新種が発見されているが、まだ草食のものは見つかっていないのだという。しかも、カエルの目は餌をその動きで認識するため、死んだ虫が目の前にあっても気づかず、食べられない。そのため動物園では、カエルの餌用に生きたコオロギを飼育しているそうだ。

    齋藤裕輔飼育員によりカエルの生態が解説された「キーパーズトーク」

    コオロギの入ったバットを飼育槽に・・・

    肉食動物らしく勇ましい目つきのアズマヒキガエルが、手足の動きからは想像もつかない速さでコオロギをからめとった。田んぼのカエルはこんな風に、イネの害虫を食べてくれているのだろう

    上野公園のカエル合戦とは?!

    さて、冬眠から目覚めたカエルたちが田んぼで大合唱し、農家の方々はその声で春の訪れを知ると言うが、当の本人(?)たちはそのために鳴いているのではない。タンチョウヅルのダンスよろしく、オスがメスにアピールする場面における戦いの声なのだ。ちなみにカエルの耳は人間のような穴状ではなく、目の後ろにある丸い模様が鼓膜で、メスはそこからオスの声を聞き取る。上野動物園に程近い上野公園東園、五重塔近くの池では毎年、春雨の降る夜にヒキガエルが一斉に集合して声を競う、通称「カエル合戦」があるのだとか。同じく両生爬虫類飼育員の大賀さんは、「ちょうど今の時期ですね。次に雨が降ったら見られるかもしれません。」と語ってくれた。群れ社会をつくるほど頭のよくないカエルが集合するのはこの繁殖期のみ。短い種で約3年、長い種では10年を超えるという寿命のほとんどを、単独行動で過ごすという。

    カエルは水を飲まない

    そうして誕生し、幼生(おたまじゃくし)時代を水中で過ごすカエルは、口からは水を飲まない。カエルの皮膚は透水性に優れており、皮膚から水を吸い込んで水分を摂る。水を入れやすいのと同時に出しやすいため、常に水をまとっていないとすぐに干からびてしまうし、全身から吸収される水が汚染されると真っ先に影響を受ける、デリケートな存在だ。また、絵本やイラストでカエルが描かれるときに必ずといっていいほどモデルになる黄緑色のアマガエルは、時に灰色や茶色に皮膚の色を変える。「木の枝にいても黄緑色だったりするので、カメレオンのように外敵から身を守るための保護色ではありません。温度や湿度、光のあたり方などが影響しているようですが、何℃になれば変わるという境界線も確認されていないので、カエルの気分次第としか言いようがないんです」とは前出の齋藤さん。カエルはなんともいえない不思議さを秘めた、小さな命のようだ。

    鮮やかに色をカエル、アマガエルの3色"着せ替え"スキン

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