【レポート】

IBM IT VISION 2008 -「System z10」を世界で初めて発表

    杉山貴章  [2008/02/27]

    IBMは26日、IBMビジネスパートナーを対象としたイベント「IBM IT VISION 2008」の場において、同社のメインフレーム (汎用コンピュータ) System zの新シリーズとなる「System z10」を初めて発表した。同イベントにおいて基調講演に登壇したIBMコーポレーション IBMシステムズ&テクノロジー グループ担当 シニアバイスプレジデント兼グループ エグゼクティブ ビル・ザイトラー (Bill Zeitler) 氏は、データセンターが抱えるさまざまな問題を解決するための新しいモデルとして「次世代エンタープライズデータセンター (New Enterprise Data Center)」を提唱した。System z10は、この新しいデータセンターのモデルを実現するための要となる製品だ。

    公開されたSystem z10とビル・ザイトラー氏(左)、日本IBM 代表取締役社長執行役員 大歳卓麻氏(右)

    今回発表されたSystem z10 Enterprise Class (EC) には、次に挙げるようなテクノロジーイノベーションが搭載されているという。

    • エンタープライズ クアッド コア テクノロジー (4.4GHz)
    • 最大64wayをサポートする拡張性
    • 1.5TBのメモリ容量
    • スタートポロジによる処理待ち時間の減少
    • 6GBpsのインフィ二バンドによるI/Oの高速化とカップリングリンク

    前世代機であるz9 ECと比べるとプロセッサのクロック数は約2.5倍、メモリ容量は約3倍となる。また、10進浮動小数点演算についてはファームウェアベースからハードウェアベースに移行したことで、約10倍の性能アップを実現したとのことだ。

    日本IBM理事でシステム製品事業 プラットフォーム メインフレーム事業部長の渡邉彰氏

    なお、日本IBM理事 システム製品事業 プラットフォーム メインフレーム事業部長の渡邉彰氏によれば、System z10 ECに搭載されたプロセッサはPOWER6プロセッサと共同開発されたもので、パイプライン処理やSOIテクノロジーなどを共有しているという。z10 EC用チップはそれに独自の命令セットアーキテクチャやハードウェアによるデータ圧縮/暗号化などの独自機能を加えることで、エンタープライズシステムのサーバ統合に特化した仕様になっているとのことである。

    IBMコーポレーション IBMシステムズ&テクノロジー・グループ System zプラットフォーム担当ゼネラルマネージャ アン・アルトマン氏

    IBMコーポレーション IBMシステムズ&テクノロジー・グループ System zプラットフォーム担当ゼネラルマネージャのアン・アルトマン (Anne Altman) 氏によれば、近年でもメインフレームの需要は増え続けており、System zにおいても2000年当時と比較して2007年で約2倍の導入台数総計となっているとのこと。またIFLs (Linux専用プロセッサ) やzAAPs (Java専用プロセッサ)、zIIPs (DB2専用プロセッサ) などの導入台数総計についても極めて高い成長率を記録しており、ワークロードが非常に早く成長していることが見て取れるという。

    System zの適用エリアの拡大を表すグラフ

    System z10は、このように広がり続ける適用エリアにおいて、システムの統合/集約を促し、「もっと経済的なプラットフォームが欲しい」という市場のニーズに応えるものだとアルトマン氏はいう。第一に、非常に高いパフォーマンスとキャパシティの実現により、データセンターの経済性を改革できるとのことだ。z10 ECではz9 ECに比べて50%のパフォーマンス向上を実現しており、また使用可能なキャパシティも70%増加している。XML、Java、Linuxなどの各種ワークロードにも対応している。

    また、ジャストインタイムのキャパシティとマネジメントを実現しており、急な処理要求に対しても即座に対応できるとのこと。このことによってビジネススピードに合わせたプロビジョニングが可能となる。新規ビジネス立ち上げの際にも、事前の準備時間を短縮できるほか、システムの計画停止も最小限に抑えることができる。したがって、ミッションクリティカルな場面においても十分な役割を果たすことができるだろう。

    コスト面においても、x86サーバによるシステムをSystem zに統合することで大幅な低減が実現できるとアルトマン氏は強調する。すでに760台のx86サーバを26個のLinux専用エンジンに統合した事例があり、人やソフトウェア、電力、冷却コスト等の減少によって、今後3年で最大80%のコスト削減を実現できる(予定)とのことだ。

    日本市場における施策として渡邊氏は、次に挙げるようなIT基盤へのニーズを指摘した上で、それを一元的に解決できるソリューションとしてSystem z10を提供していくと語っている。

    • 既存基盤システムを有効活用できるSOAプラットフォーム
    • インフラ管理や運用コストの高騰を抑える、高性能な仮想化ハイブリッドサーバによる統合
    • 高可用性セキュリティプラットフォームへのデータ統合
    • クリティカルなIT基盤に適用できる、徹底したゼロダウンタイム指向のプラットフォーム

    アルトマン氏によれば、今回発表されたSystem z10は5年間に渡る入念な準備によって実現したとのことで、「企業の将来のデータセンターにおける重要な選択肢になるでしょう」語った。

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