ここ最近、ニコニコ動画やYoutubeのような動画共有サービスの普及によって、マルチメディアを中心とした新しいコミュニケーションが登場し、これを軸としたコミュニティが形成されるようになりました。そして、初音ミクによるボーカル付きの自作曲や、アレンジ作品などを公開して、一部の作品が話題となるなど、DTM(Desktop Music)の分野においても新しい現象が見られます。このような新しいコミュニケーションの登場によってDTMに再流行の兆しが見えることは、一人の音楽ファンとして喜ばしいことです。

アマチュア向けのDTMは、元々90年代中頃にWindowsによる一般家庭へのPC普及とインターネットの流行と共に発展しました。ローランドとヤマハを中心に様々なパッケージ製品や音源が販売され、小規模な量販店においてもDTMのコーナーが設けられていることは珍しくありませんでした。しかし、DTM市場は次第に規模を縮小し、2000 年以降は量販店からも姿を消すようになってしまいました。圧縮技術と通信速度の向上によってMP3を代表とするオーディオ形式のファイルが容易に交換できるようになったことや、コンピュータの性能の向上によって専用のハードウェアを用意することなく音楽制作が可能になったことなど、いくつかの要因が考えられます。

しかし、現在における動画共有サービスを代表とした、いわゆるUGC(User Generated Content)の概念の発達、UGCベースのサービスの発展によって、再びアマチュアによる DTM や音楽制作が注目される日が来るかもしれません。本稿ではDTMの中核となる電子楽器の標準規格MIDI(Musical Instrument Digital Interface)を使って、Javaから電子楽器を制御するサウンドプログラミングについて解説させていただきます。Javaは、アプリケーションから音声制御を行うためのJava Sound APIを標準クラスライブラリで搭載しています。これを利用することで、アプリケーションから電子楽器や音源を制御することが可能になります。