ヘビーデューティーなフィールドを想定

E-3のボディはとてもしっかりしている。どちらかというとずんぐりむっくりなイメージで、無骨さも感じる。しかしヘビーデューティーな感じがして悪くない。本体のみの重さは約810g。キヤノンEOS-1D系やニコンD3よりもはるかに軽い。D300(825g)に近い重さだ。

シャッターボタンは半押しがはっきりしているタイプ。使いやすい。それより好印象なのはミラーの動作音やショックがとても少ないことだ。フォーサーズのためミラーが小さくて済み、相対的にボディが重いためにそう感じるのだと思うが、レリーズ音が小さいのはとてもいいことだ。秒5コマの連写でも騒がしくならない。

ボタン類は小さく、ストロークが長いように感じる。明らかに押すという意思がないと押せないわけで、これも無骨ではあるが、フィールドでの操作ミスは少ないはずだ。十字ボタンは操作しやすい。他のボタンと同じようにストロークは深めだが、押し間違いしない。慣れもあるが、十字ボタンの中央が[OK]ボタンなのはとてもいいと思う。例えばモニターの情報表示から直接設定が変更できる「スーパーコンパネ」機能をもつが、[OK]ボタンからほとんど指を動かさずに操作に入れる。

メインダイヤルの位置がホールド時の親指より中央寄り(向かって左側)にある。最初はどうかと思ったが、すぐに慣れた。スーパーコンパネを使う場合、メインダイヤルを多用するので、両者が近い位置にあるのは正解だ。

E-3の操作系で最大の難点は、[MENU]や[ライブビュー]などのデジタル系操作ボタンが液晶モニターの下にあることだろう。下にあるだけでなく、奥に引っ込んでいることも使い勝手を悪くしている。三脚にE-3を取り付けると、台座とモニターの間に指を突っ込まなくてはならない。モニターを開けば少しよくなるが、どれも使用頻度の高いボタンなのでなんとかしてほしいと思う。

上面の露出補正ボタンも他のボタンに挟まれて場所が狭いため、少々探りづらい。しかしダイヤルの変更自由度が高く、補正ボタンを押さなくてもダイヤルだけで露出補正できるように設定が可能だ。それを覚えてから不満を感じなくなった。

全体に、スペースが少なく、ボタンの配置に苦労しているように感じられる。とりあえず要らないと思うのは[IS(手ブレ補正)]ボタンとSSWランプだろう。動いていて当たり前なのだから、モニター表示(操作)で十分ではないか。個人的には上面の液晶パネルをほとんど見ないので、これを無くしてもらえればはるかに快適なボタン配置になると思うのだが。

ホールドは悪くない。小ぶりだが少々重めのボディがしっくり来る

シャッターボタンは半押しがわかりやすいタイプ。むやみに軽くはない

露出補正ボタンの置かれた場所が狭いため、ちょっと操作しづらい

[MENU]などのボタンはモニター下に。三脚にカメラを装着するととても使いづらい

背面のおもな操作系

上面のおもな操作系

それでもやっぱりスーパーコンパネは便利

液晶モニターは2.5型。小さいとはいわないが、最近は3型が増えていることや、スーパーコンパネなどで文字をたくさん表示することを考えると、けっして広いとはいえないだろう。画像再生時、倍率を保ったまま次の画像が見られるし、画面をふたつ並べる「ライトボックス表示」も可能。これはとても便利なのだが、よけいに"もう少しモニターが大きければ……"と思ってしまうのだ。

「スーパーコンパネ」は素晴らしく便利である。モニターを使った情報表示画面から[OK]ボタンで各機能を直接変更できる機能で、「コンパネ」は「コントロールパネル」の略でもある。最近ではモニターを使った情報表示や、そこから設定変更できるカメラが増えてきたが、オリンパスが老舗であり、いまでもいちばん使いやすいと思う。

それで気付いたのだが、E-3には絞り優先AE、プログラムAEなどを変更する、いわゆるモードダイヤルを装備していない。これもスーパーコンパネかと思ったら、ちょっと違っていて[MODE]ボタンを押した状態で、メインダイヤルを回す方法だった。もうひとつは、AFターゲット(スモール/ダイナミック/オール)の切り換えも、スーパーコンパネからだと少々面倒。ただ、頻繁に使うものではないのでかまわないだろう。AFポイントの移動はすぐにできる。

また、オリンパスの特長であった画像設定が変わり、[SHQ]の名が無くなった。画質(圧縮率)・画像サイズを組み合わせて登録しておき、メニューやコンパネから選択する方法は同じだが、少々寂しい気もする。わかりやすさではこのほうがいいのだろう。

モニターを使った情報表示画面。撮影に必要なほとんどの情報が一覧できる

[OK]ボタンを押すと、すぐさま設定変更ができる「スーパーコンパネ」機能

通常メニュー。こちらからでも設定が変えられる

画質モードは「SHQ」などがなくなり、12通りのうち4通りを登録して使用する

AFポイントは11点。これは回りのポイントがフォローする「ダイナミックシングル」

再生時のモニター表示画面。23万画素2.5型モニターの見やすさは標準的なところ

再生時の最大倍率は14倍。ピントなどもしっかり確認できる

拡大し、さらに2枚の画像を並べて比較できるライトボックス表示

RGB別のヒストグラムも表示できるが、フィールドではこの無骨なグラフが見やすくていい

25コマまでのサムネイル表示も可能だが、さらにカレンダー再生も可能

ライブビューはこなれてきたが、フリーアングルは必要か?

さて、ライブビューである。通常撮影からライブビューへの切り換えは、専用の[ライブビュー]ボタンを押すだけ。とてもわかりやすい。AFユニットも通常撮影時と同じものを使うため(位相差式)、シャッター全押しでピント合わせ→撮影といういつもの流れになる。もちろんそれに伴ってミラーも上下動することになる。

ユニークなのは[AEL/AFL]ボタンでピント合わせだけする場合、モニター像がグレーになって合焦中を知らせてくれるのだ。像は見えたままになる。これでピント合わせが速くなるということはないだろうが、いい心遣いだと思う。消失時間が短く感じるし、第一、ブラックアウトは心臓に悪い。

ライブビュー時、[INFO]ボタンで拡大表示になり、ピントの具合が確認できるが、最後に使った拡大比率を覚えていて、一発でその倍率まで拡大してくれる。これはカシコイ。ちなみにライブビューの拡大は最大10倍、再生時は最大14倍となる。ただ、[OK]ボタンひとつで拡大してくれるのはいいが、どうせならピント位置を拡大してほしい。

そんなわけで、ずいぶんこなれてきた感じのあるライブビューだが、一番使い勝手が悪く感じたのはフリーアングル液晶だった。使用する際に、横に開く→回転させるという2段階のアクションが必要なのも面倒だし、レンズの方向と視線の左右方向がずれることに最後までなじめなかった。以前の「E-10」「E-20」で採用された単純なチルト式モニターは、素直に使えたことを覚えている。なにより、固定や単純チルトにすれば、より大きな3型モニターが使用できたかもしれないし、ボタンも左側に置けたのではないだろうか。そう考えるとフリーアングルと引き換えに無くしたものは少なくないと思う。

モニターを自由に動かしてのライブビュー撮影が可能

ライブビュー画面は多彩。これはヒストグラムを表示したところ

ライブビュー時はピント確認などのため一部を拡大できる。最大10倍

ピントが外れた状態。非常にわかりやすい

[AEL/AFL]ボタンでピント合わせする間、このようにグレーの表示になる

モニターを使うライブビューなので罫線表示も可能。これは「方眼」

ライブビュー中にスーパーコンパネを開くと、このように半透明で表示される

ホワイトバランスなど、リアルタイムで色が変わる