【レポート】
Intelは、ISSCC 2008にて、数百mW程度の消費電力で動作できる、超低消費電力のIAプロセッサを発表した。コードネーム「Silverthorne」と呼ばれているCPUで、全くの新設計CPUである。(講演番号13.1:A Sub-1W to 2W Low Power IA Processor for Mobile Internet Devices and Ultra-Mobile PCs in 45nm High-k Metal Gate CMOS)
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Intelは2006年6月に同社のXscaleプロセッサファミリを中心とした携帯機器向けコミュニケーション・プロセッサとアプリケーション・プロセッサ事業をMarvellに売却した。その後、Xscaleに替わる同社の携帯電話やモバイルインターネット用途向け超低消費電力プロセッサをどのように提供していくのか、ということが注目されていたが、いよいよその製品が姿を現したことになるだろう。
Silverthorneは、Intelの45nm HKMG(High-k Metal Gate)9層銅配線プロセスで製造される。リークを抑えるため、チャネルの比較的長いトランジスタを100%使用しており、これに伴う若干のスピードダウンを設計上許容している。トランジスタ数は4700万個、7.8mm×3.1mmのダイサイズで25平方mm以下となる。命令セットアーキテクチャはCore 2 Duoに完全互換で、SSE3と、Intel 64アーキテクチャ、及びIntel Virtualization Technologyをサポートする。ただしパイプラインは、16 stageのdual-decode dual-issue in-order実行で、Hyper-Threading(SMT)が実装されている。また、128bit SIMD整数乗算器と64bit 浮動小数点(FP)除算器を備える。キャッシュメモリについては、32KBのL1命令キャッシュ、24KBのL1データキャッシュ、8-way 512KBのL2キャッシュを備える。FSBは400 / 533MT/s。
Silverthorneは多彩な省電力機構を備えている。Hyper-Threadingを実装することにより、15%程度の消費電力の上昇で、30%のパフォーマンスゲインが得られるとしており、十分に効果的と判断している。また、新たにC6ステートと呼ばれる深いパワーダウンモードを用意している。これは、フルパワー時に比べて16/1000の消費電力しか消費しない深い待機モードだ。このために、マイクロアーキテクチャのステートを保持するための10.5KBのアレイを持っている。その他、クロックゲーティング、Split IO Power Supplyなどを実装、様々な省電力対策により2006年におけるIntelのULVシングルコアプロセッサに比べて、TDPが1/10に収まったという。
Silverthorneのターゲット消費電力は数百mW~2W程度のレンジである。測定では、2GHz 1V動作で2Wとなっている。これを過去のIntel Xscaleプロセッサと比較してみよう。2005年のVLSI SymposiumでIntelは90nmプロセスを用いた1.5GHz動作のXscaleプロセッサコアを発表している。MHz当たりの消費電力を比較してみると、
| CPU | Silverthorne | Xscale(2005 VLSI Symposium) |
|---|---|---|
| プロセスルール | 45nm | 90nm |
| アーキテクチャ | IA | ARM V5TE |
| 最大動作周波数 | 2GHz | 1.5GHz |
| 電源電圧 | 1.0V | 1.2V |
| 消費電力 | 2W | 2.6W |
| L1キャッシュ | 32/24KB(I/D) | 32/32KB(I/D) |
| L2キャッシュ | 512KB | 512KB |
| ダイサイズ | 25平方mm | 17平方mm |
| トランジスタ数 | 4700万 | 3900万 |
| mW/MHz | 1.0 | 1.75 |
両者はスペック的に良く似ているのであるが、流石に3年前の設計と比較すると、プロセスが90nm→45nmに進化している部分だけでも大きな違いだ。Xscaleが1.75mW/MHzであるところ、Silverthorneは1.0mW/MHzとなっており、これだけで単純な比較はできないものの、高い消費電力効率を示しているようだ。
Silverthorneが注目を集める理由は、その技術そのものよりも、市場に対する影響力の大きさだろう。高性能化する携帯電話に今後インテルアーキテクチャが採用され、携帯電話のプラットフォーム、ソフトウェア環境が大きく変貌していく可能性を感じる向きもあるし、間違いなくインテルはこれを狙っているだろう。ISSCCで発表がなされたということは、動作チップが既に存在することを意味する。メーカーや市場がこの製品をどのように受け止めるか、注目したい。
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