米国ラスベガスで現地時間31日から開幕する「PMA 2008」の前日イベントである「Sneak Peek」と「DigitalFocus」が開催された。カメラメーカー各社の新製品が初お披露目となったほか、Sneak Peekでは米Sonyから同日発表されたデジタル一眼レフカメラ「α350」も早々に出展されていた。

こちらはラスベガスのカジノホテルMirageで開催されたDigitalFocus会場。中世ヨーロッパがモチーフ? Sneak Peekがランチ、DigitalFocusがディナーの時間に開催され、立食形式で飲食しながら製品の話を聞くのがスタイル

コンパクトデジカメのように撮影できるライブビューα350

米Sonyが発表したのは「α350」(DSLR-A350)と「α300」(DSLR-A300)の2モデル。ただし、Sneak Peek会場にはα350のみが出展されていた。

ライブビュー機能を搭載した「α350」

本体上部。ライブビューボタンが新設されている

両モデルとも、新たに「Quick AF Live View」を搭載。これまで、デジタル一眼レフのライブビューでは、レンズから入った光を、一時的にミラーをアップして液晶側に表示する仕組みだったため、AF動作が行えないという問題があった。AFを行おうとすると、いったんミラーが下がって液晶がブラックアウトして、その間にAFを行い、再びミラーが上がってライブビューに戻る、というのが一般的だった。これに対する解決策として、別のAF方式を搭載することで、ライブビュー表示をしたままAFに対応するデジタル一眼レフが登場してきている。

α350では、新たに「Pentamirror Tilt mechanism」を導入。ライブビュー時にミラーを少し傾けて光軸をずらし、ライブビュー専用の撮像素子を使ってライブビューを行う。この結果、AFユニットには変更を加えず、通常撮影時に使われるより精度の高いTTL位相差検出AFが可能になったという。Quick AF Live Viewにより、ライブビュー中でもコンティニュアスAFが可能で、連写中もライブビューが解除されない。

実際に試してみると、ライブビュー中でも、ちょうどコンパクトデジカメのようにシャッターボタン半押しでAFが動作してAF測距が行われ、そのままシャッターボタンを切ると写真が撮れる。AF動作も速く、快適に撮影できる。

ソニーによれば、コンパクトデジカメからのステップアップユーザーでは特に、デジタル一眼レフは液晶を見ながら撮影できない点が不満だとして、コンパクトデジカメと同じスタイルで撮影できるスタイルを実現。さらにデジタル一眼レフに期待されるAFスピードも犠牲にしない方式を採用したのだという。

2.7型のClear Photo液晶はバリアブルタイプを採用しており、液晶が上下に稼働するため、ハイアングルやローアングルでのライブビュー撮影もしやすいのがメリット。ほかのライブビュー搭載デジタル一眼レフのように、AFボタンを押してAFを動作させるのではなく、シャッターボタンだけでAFから撮影までが行えるため、ハイアングルやローアングルの撮影も簡単。最近は液晶が稼働するコンパクトデジカメが少ないので、むしろコンパクトデジカメよりも撮影しやすいと感じた。

シャッターボタン半押しでAFが動作。多点測距も可能

バリアングル液晶を搭載しているのでより自由なアングルでの撮影ができる

撮像素子には1,420万画素CCDを搭載(α300は1,020万画素)。画像処理エンジンにはBIONZを採用し、ISO 3200までの高感度撮影が可能。ハイコントラスト時のダイナミックレンジを改善するDレンジオプティマイザーやシャッタースピードで2.5~3.5段分の効果があるというボディ内手ブレ補正「Super SteadyShot」、ゴミ取り機能、2.5コマ/秒の連写といった機能を搭載。

米国での出荷は3月の予定。日本でも発売はされるようだが、発表日などはブースでは「よく分からない」とのコメントだった。

また、米国で23日に発表されたコンパクトデジカメのうち、「Cyber-shot DSC-T300」も出展。米国では3月発売予定だが、こちらも日本での発表は分からないとのこと。

撮影シーンを自動で分析して最適な設定で撮影してくれる「intelligent scene recognition (iSCN)」を搭載したDSC-T300

本体背面

本体上部

顔検出機能も強化され、大人・子供の区別ができるようになった

そのほかには、同日に発表されたSony初のデジタルフォトフレーム「S-Frame」シリーズも出展。発表されたのは「DPF-V900」「DPF-V700」「DPF-D70」の3製品だが、展示されていたのはV900/V700の2製品。

ソニーのデジタルフォトフレーム「S-Frame」。これはV900

フレームを縦置きすると、自動的に画像も回転して表示される

この2製品では、800×480(WVGA)の解像度と15:9のアスペクト比を備えた液晶を搭載する"デジタル写真立て"で、取り込んだ画像をスライドショーしながら表示してくれる。V900は9型、V700は7型の液晶を搭載する。それぞれ、512MBの内蔵メモリを備えている。

背面にはメモリカードリーダーを搭載し、メモリースティックPRO/PRO Duo、SDメモリーカード、MMC、CFカード、マイクロドライブ、xDピクチャーカードと主要カードをサポート。USB端子もあり、PCや携帯電話、デジタルカメラからも画像を取り込めるという。取り込む際に自動的にリサイズして取り込まれるため、大量の画像を保存できる。

本体背面

また、Bluetoothも内蔵するので、Bluetooth対応携帯電話から画像を取り込むことができるほか、HDMI端子経由でソニーの液晶テレビBRAVIAを始め、HDTVに画像を出力することも可能だ。対応フォーマットはJPEG/RAW(SRF、SR2、ARW)/TIFF/BMP。

画像のスライドショーでは10種類の表示方法が選択でき、たとえば画像と同時に撮影日時をグラフィカルに表示することもできる。タイマー設定もでき、たとえば出社する朝の時間に自動で電源ON、退社時間に電源OFF、といった(アメリカらしい)使い方もできる。

スライドショー表示の一例。撮影日時が同時に表示される

内部にはデジタル一眼レフやコンパクトデジカメと同じBIONZエンジンを搭載している。全く同じものというよりも、フォトフレームに適したカスタマイズはされているようだが、BIONZの搭載で高速処理が実現しているそうだ。

米国では3月の発売で、価格はV900が250ドル、V700が190ドル。日本での発表については「たぶん」ということだった。