Adobe Creative Suite 3 Production Premium(以下CS3 Production Premium)は、ビデオ編集ソフトAdobe Premiere Proを中核とした映像制作ツール群である。Final Cut Proの登場にともなって2003年いっぱいでMac版の販売を終了してしまったAdobe Premiereだが、Adobe Creative Suite 3の登場とともに待望のMac版復活となった。MacのCPUがPower PCからIntel製のCPUに変更されたため、移植が容易に行えるようになったことが大きな要因と言えよう。これによってAdobeのビデオ編集ツールにおけるWindowsとMacのクロスプラットフォーム環境が実現された。また、「Creative Suite」として映像制作統合ツールパッケージが発売されるのは今回が初めてとなる。パッケージの内容は以下のとおりだ。
- ビジュアルエフェクトツール:Adobe After Effects CS3 Professional
- ビデオ編集ツール:Adobe Premiere Pro CS3
- DVDオーサリングツール:Adobe Encore CS3
オーディオ編集ツール:Adobe Soundbooth CS3
Flashコンテンツ制作環境:Adobe Flash CS3 Professional
- FLVコーデックエンコーダー:Adobe Flash CS3 Video Encoder
- デジタル画像編集ツール:Adobe Photoshop CS3 Extended
- ベクトルグラフィックツール:Adobe Illustrator CS3
モバイルコンテンツプリビューツール:Adobe Device Central CS3
映像コンテンツリンク環境:Adobe Dynamic Link
メディア管理ツール:Adobe Bridge CS3
ビデオキャプチャーツール:Adobe OnLocation CS3
- クロマキー合成ツール:Adobe Ultra CS3
これらの内、CS2の時代にMac版がなかったPremiere Pro、Encore、そして今回新たに登場したSoundboothの3つのアプリケーションに関してはIntel Mac専用となり、Power PC搭載のMacにはインストールすることができない。また、OnLocationとUltraについては、従来、英語版だったものが日本語化されたものの、Adobe社が取得してそれほど時間がたっていないためかWindows版のみでの提供となる。Mac版のパッケージであってもOnLocationとUltraに関してはWindows版のインストールディスクが付属しているので、現時点ではBoot Campなどを使用したWindows環境か、別のWindowsマシンにインストールして実行する必要がある。今後リリースされるであろうIntel Mac版に期待したい。
PremiereやAfter Effectsといったおなじみのビデオ編集環境に加え、Illustrator、Photoshopといったグラフィックスツールを1パッケージにし、さらにFlash製作環境と統合することで、従来の映像環境だけにとどまらない幅広いコンテンツ制作に対応している。アップルのFinal Cut Studio 2はどちらかというとブロードキャスティングやポストプロダクション向けという雰囲気が強いが、CS3 Production Premiumはインターネット上でのリッチコンテンツ制作を強く意識していると言えるかもしれない。