2007年7月下旬から実施されている、「制限的本人確認制度」を含む「情報通信網利用促進および情報保護等に関する法律」(以下、情報通信網法)。2007年に社会問題にまでなった「アクプル(悪+Replyで悪質なコメントといった意味)」に対処するのが主目的で導入されたもので、同制度の対象となるWebサイトにコメントを書き込むには本人確認が必ず必要になるという内容だ。

この制度の対象となっているのは、公共機関のほかに利用者の多い民間のWebサイトだ。1日平均のユニークユーザー数が30万以上の、NaverやDaumといったポータルサイト16カ所と、Pandora.TVなどユーザー製作コンテンツ(UCC:User Created Contents)共有サイトなど5カ所、そして1日平均のユニークユーザー数が20万以上のKBSや朝鮮日報などメディアサイト14カ所が選ばれ、実際にこれらのWebサイトで制限的本人確認制度が実施されている。

これに続き情報通信部では、2008年版の制限的本人確認制度の導入を発表した。これは基本的に、従来と同様ではあるが、対象Webサイトに若干の変化がある。

ポータルサイト部門では、以前は制度適用対象となっていた「damoim」「ipop」がはずれ、代わりに「Cyworld」と「Megapss」が対象となった。Megapassは、通信会社KTのブロードバンドサービスの名称でもあり、同名のポータルサイトも用意されている。

UCCサイトでは「Pullbbang」がはずれ、代わりに「TI STORY」と、動画UCCサイトとして人気が上昇している「Mgoon」が入った。

次にメディアサイトとしては「Oh! My News」の代わりに、「京響新聞」「デイリーサプライズ」が対象となった。

以上のように、4サイトが対象外となると同時に、6つのWebサイトが新規に追加されている。約6カ月間で、人気サイトの構成にも変化があったことが伺える。今回新規に制度の対象となったWebサイトは、準備期間を経て4月1日から本人確認の制度を実施することとなっている。

ちなみに実際の効果について、情報通信部は肯定的な見方をしている。同部が2007年10月に発表した結果によると、インターネット全体で、本人確認を実施する掲示板が占めるページビューの割合は、23%から55%に増加したという。そして全体のコメントに対してアクプルが占める割合も12.1%減少している。

人気Webサイトの入れ替わりに合わせ、対象サイトも変えるという同部の対策は、変化の激しいインターネット業界において、大変有効だといえる。同部では今後、再度アクプルの実態調査を行う方針であるなど、アクプル撲滅に向けた細やかなチェックを行っていく。

2007年と2008年の、制度対象サイトを比較したもの