2008 International CESが開催中の米ネバダ州ラスベガスにて、NVIDIAは報道関係者向けイベントを開催。新たなマルチGPU技術である「Hybrid SLI」や、同技術を利用できる新型チップセット群を発表した。Hybrid SLIに関してはデスクトップだけでなく、2008年中にノートブックでも採用がはじまる見通しだという。

米ラスベガスで行なわれたプレスイベント。NVIDIAは新たなSLI技術と新型チップセットを発表した

省電力と性能を両立するマルチGPU技術「Hybrid SLI」

Hybrid SLIは、チップセットが持つ内蔵GPUと、外付けのGeForeceグラフィックスカードを組み合わせてSLI動作させることができる技術。グラフィックスパフォーマンスを最優先する「GeForce Boost」モードと、消費電力の効率を重視した「HybridPower」モードという2種類の異なる動作モードを持つ点も特徴だ。

内蔵GPUと外付けGPUでSLIを構成する「Hybrid SLI」。「GeForce Boost」と「HybridPower」という2種類の動作モードを持つ

GeForce Boostモードでは、既存のSLI技術のように(Hybrid SLIでは内蔵+外付けとなるが)、それぞれのGPUが同時に動作し、高いレンダリングパフォーマンスを実現する。フレームバッファは内蔵GPU側はメインメモリと共有し、外付けGPU側はグラフィックスカード上のメモリというように別々。もちろんそれぞれのGPUからディスプレイに出力し、マルチディスプレイの環境を構築することができ、また外付け側のフレームバッファのデータを内蔵側に移せるため、内蔵側から出力することも可能だ。

それぞれのGPUを同時に動作させ、異なるフレームを各GPUが分担してレンダリングする、従来のSLIと同じような方法で高パフォーマンスを実現する

両側のGPUでマルチディスプレイができるほか、外付け側のフレームバッファを内蔵側に転送し、内蔵側のポートから出力することも

HybridPowerモードでは、パフォーマンスが必要な場面では内蔵+外付けのGPUを同時に動作させパフォーマンスを稼ぐが、ブラウジングやメール閲覧といったパフォーマンスが必要ない場面では外付け側をシャットダウンして消費電力を引き下げる。NVIDIA SLIと共存できるので、内蔵(GPU×1)+外付け(NVIDIA SLIでGPU×2)という構成にも対応する。ただし、GeForce Boostと異なりこちらのモードではディスプレイ出力が内蔵GPU側のみになるなどの制限が存在する。

HybridPowerモードでは、パフォーマンスが不要な場面では外付け側をシャットダウンし、電力消費を抑える

ノートPCでも有効な技術となるだろう。省電力な高パフォーマンスノートが実現できる

外付け側の電源管理にはSMBUSを利用する

SLI構成でパフォーマンスは向上するが、ディスプレイ出力は内蔵GPU側に制限される

HybridPowerモードの特徴として、内蔵(GPU×1)+外付け(NVIDIA SLIでGPU×2)という構成も可能だ

内蔵(GPU×1)+外付け(NVIDIA SLIでGPU×2)構成では、外付け側をまとめてシャットダウンするため、不要な場面では消費電力を大幅に抑制できる。グラフィックスカードの電源がOFFになればその分ノイズも減るので、デスクトップでも非常に有益だろう

両モードの切り替え方法だが、Windows Vistaの電力管理機能と連動したり、新しく提供されるコントロールパネル上から行なうことができる。

Vistaの電力管理、またはNVIDIAのコントロールパネルからモード切り替えができるように

なお、今回アナウンスされた対応GPUは、GeForce Boostモードに関してはGeForce 8500 GT/同8400GS、および2008年Q1に発表予定という新GPU。HybridPowerモードには残念ながら現時点で対応GPUが無く、前述の2008年Q1の新GPUが最初の対応製品になる模様だ。