東京・杉並アニメーションミュージアムにて2007年12月11日より「プロダクション I.G 創立20周年記念展」が開催されている。開催期間は2008年2月24日まで。開館時間は10時から18時(最終日は15時まで)。毎週月曜と年末年始12月28日から1月4日が休館日。入場無料。

20年間の歩みとともに、プロダクション I.Gのこれからを知ることができる展示会となっている

1987年の立ち上げより、プロダクション I.Gの社長を務める石川光久氏。制作タイトルに関する逸話から株式公開にいたる経緯など、話題は多岐に渡った

プロダクション I.Gは1987年設立以降、『攻殻機動隊』シリーズに代表される、完成度の高い作品を世に送り出し続けているアニメ制作会社。今回の展示会は2007年12月に20周年を迎えるにあたって開催され、そのオープニングイベントとして、12月22日にはプロダクション I.G社長の石川光久氏による講演会が行われた。

講演会では「プロダクション I.G 20周年の歩み」と題し、代表的な制作タイトルを振り返りながら石川社長によるトークが行われた。石川社長はプロダクション I.Gのデビュー作となる『赤い光弾ジリオン』について「20年ぶりに見直して『ジリオン』というのは大きかったんだなと思いました。『機動警察パトレイバー』を作るきっかけとなり、いまのI.Gの中心となるメンバーが参加した作品です」と振り返った。

このほか『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』『イノセンス』『スカイ・クロラ』など、プロダクション I.G作品を数多く手がける押井守監督については「20年間付き合っていますが、徹夜で話し込んだりというのはあまりないです。押井さんには、入り込んではいけない領域があるんですね。たぶんI.Gがこうやって20年を迎えられたのは、押井守の入ってはいけない領域に入らなかったからここまで来れたんじゃないかなと思います」と語った。

若い参加者が多かった今回の講演会。石川氏は過去ではなく、いま現在を大切にしてほしいと語りかけた

また思い入れの強い作品として、劇場版の制作に携わった『新世紀エヴァンゲリオン』についても触れ、「20年間で企画書を見て一番面白いなと思ったのは『エヴァンゲリオン』ですね。『エヴァンゲリオン』に参加できたのは、いま思うとすごく充実していました」とコメント。最後に石川社長は20年間アニメ制作に携わった経験から「目標というものは、日々の積み重ねで必ず越えなければいけません。その延長線上に夢が見えてくると思いますが、夢は掴めないから飽きないです。20年を振り返ったときに、20年前の作品は内容を忘れていることが多いです。頭の中は、これからの作品と、今動かしている作品のことで、ハラハラドキドキを感じています」とし、来場者へ「いまこの瞬間を生きている実感というものを、一番大切にしてほしい」と締めくくった。

2007年12月19日に発売されたOVA『東京マーブルチョコレート』の絵コンテ。キャラクター原案を少女マンガ家の谷川史子さんが担当

20周年記念作品として制作された『神霊狩/GHOST HOUND』のアフレコ台本。原作には『攻殻機動隊』の士郎正宗氏が参加

『機動警察パトレイバー』の台本(左)。『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』からも台本(中央)とフィルム(右)を展示

プロダクション I.Gのデビュー作『赤い光弾ジリオン』からは複製セル画を展示

『BLOOD THE LAST VAMPIRE』のコンセプトを引き継いだ『BLOOD+』のキャラクター設定。プロダクション I.G初めての4クール(1年)作品として制作

常設展示されているI.G所属アニメーター、後藤隆幸氏の仕事机。12月24日には後藤氏のサイン会とキャラクターの描き方講座が館内で行われた

会期中にはI.Gにゆかりのあるゲストを呼んでのイベントも予定。また館内のアニメシアターではプロダクション I.G制作の作品を連日上映している。詳しい上映スケジュールについては、ミュージアムのWebサイトより確認してほしい。アニメスタジオのなかでもトップクラスのプロダクション I.G。20年の間に生み出してきた名作と、2008年以降に登場する新しい作品に出会いに来てみてはいかがだろうか。

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