東京・新宿の紀伊国屋サザンシアターにて15日、「機動戦士ガンダム 劇場版メモリアルボックス発売記念 プレミアム上映会」が開催された。これは、『機動戦士ガンダム』劇場版3部作がオリジナル音声で収録されたDVDのBOXとして、21日に発売となるのを記念したもの。ネットの応募者から333名が無料で招待され、上映に先立ち、舞台挨拶とトークショーが行われた。

左から、ナレーションの永井一郎、ララァ・スン役の潘恵子、富野由悠季監督、ミュージシャンのGackt、シャア・アズナブル役の池田秀一

舞台挨拶では富野由悠季監督らが登壇したほか、熱烈なガンダムファンとして知られるミュージシャンのGacktが登場。劇場版『機動戦士Zガンダム』3部作で主題歌を担当し、19日には『哀 戦士』などをカバーしたアルバム『0079-0088』を発売。そのガンダムへの熱い思いは来場者も知るところだけに、会場からは大きな歓声が巻き起こった。

富野由悠季(『機動戦士ガンダム』監督)
「26年という長い時間の流れは、本当に複雑です。亡くなった方が現実にいるなかで生き延びていられるのは、本当に皆さんがいてくれたからだと感じます。オリジナルフィルムが年月による劣化で失われようとしているなか、修復技術が間に合いました。大変良い時期にこのメモリアルボックスを企画してくれて感謝しています」

古谷徹(声優 アムロ・レイ役)
「早いもので劇場版第1作の公開から、もう26年の時が流れました。この長い間、みなさんが熱心に作品を愛してくださったからこそ、今回のメモリアルボックスの発売に繋がったんだと感謝しています。これからも『機動戦士ガンダム』とアムロ・レイを愛してくださいますよう、よろしくお願いします」

池田秀一(声優 シャア・アズナブル役)
「26年やってきて懐かしいです。この26年の間に、何人か戦友を亡くしました。その意味でも、今日作品を見ていただくというのは、本当にメモリアルという感じがします。とくに26年前に、劇場に並んで見ていただいた方たち。26年という時の流れを、今日また感じていただければ幸せです」

潘恵子(声優 ララァ・スン役)
「20数年前に劇場で流れたものが、改めてこういう形で上映されます。そのときに劇場にいた方、まだそのとき生まれていなかった方もたくさんいらっしゃると思います。今日一緒に巡り会えてよかったです。これからも『ガンダム』を皆さんで応援してください」

永井一郎(声優 ナレーション)
「私はまだ生きております(笑)。長い時間が経ったと思います。いまこそ世界中でこの映画を見られた人が覚醒して、ニュータイプになっているといいなと思っております」

Gackt(ミュージシャン)
「今回の発売を僕自身も楽しみにしていましたし、多くのファンが楽しみに待っていたと思います。長い年月が流れましたが、この日本の財産がまた何十年も大切に守られていけばいいと思います。アルバム『0079-0088』は、ガンダムファンや関係者の期待に応えなければということもあり、作っては直しを繰り返しました。1曲に4カ月以上かかったものもあります。『ほかの人が歌うのを想像すると耐えられない。自分がやるしかない、ほかの人にはできない』と思いました」

富野由悠季監督。「『機動戦士ガンダム』の富野と言わせてください」と挨拶

主人公アムロ・レイ役の古谷徹。日本文化交流のイベントで中国へ行っており、ビデオレターでの出演

シャア・アズナブル役の池田秀一。「見せてもらおうか、劇場版メモリアルボックスの性能とやらを!」と名台詞で挨拶

ララァ・スン役の潘恵子。「美しいオリジナル音声を嫌いな人がいて?」と、ララァの台詞でDVD-BOX発売を祝福

ナレーションの永井一郎。劇中のナレーション風にDVD-BOX発売を紹介すると、会場から大きな歓声が上がった

真っ赤なバラを富野監督に渡したGackt。親交の深いGacktからの花束贈呈に、監督も終始笑顔が耐えなかった

『ガンダム』のすごさについて聞かれたGackt。一言で言い表せないとしながらも、ドラマなかのシャアやアムロたちのセリフが、いまに受け継がれている点を挙げた

また第1部として行われたトークショーでは、『機動戦士ガンダム』に思い入れのある方々によって、その気持ちが熱く語られた。

氷川竜介(アニメ評論家)
「基本的に『ガンダム』は内紛の話です。地球上から宇宙に移民させて植民地政策みたいなことをやっていたら、独立戦争が起きたという構造を取っている。これまで人間がやってきたことを織り込んだということが、一番新しいです」

新篠まゆ(マンガ家)
「一番衝撃が大きかったのが、シャアのシャワーシーンです。『なんで(風呂場の)ドアが開いたままなんだろう?』と、びっくりしました(笑)。それとそのシーンで、スポンジを使って体を洗っているんですね。あの当時、普通はタオルとかなのにスポンジ。『すごくオシャレ。さすがシャア様!』と思いました(笑)」

柳原哲也(お笑いコンビ アメリカザリガニ)
「カイ(・シデン)の気持ちが、大人になればなるほどわかります。はじめは『軟弱物!』って言われて、僕らも『なんだこいつ?』と。それが大人になって見直すと『なんて素直な奴なんだ』と。カイが一番等身大です」

平井善之(お笑いコンビ アメリカザリガニ)
「ランバ・ラルは叩き上げの軍人なんですね。ゲリラ戦を得意として、ずっとザクに乗っていただろうと。それが急にグフを与えられてアムロと戦ったときに、『ザクとは違うのだよザクとは!』とつい言ってしまった。その台詞が大好きです」

トークショーで司会を務めたのは、角川書店代表取締役社長の井上伸一郎氏。『ガンダム』に初めて触れたときの思い出など、トーク内容は多岐にわたった

今回上映会で上映されたのは、劇場版3作目『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙』。インターネット投票で、圧倒的な票数を獲得したとのことだ。舞台挨拶、トークショー、そして劇場版上映と、まさに来場者にとっては一足早いクリスマスプレゼントとなった。

オリジナル音声で発売されるDVD-BOX(価格18,900円)。BOXアートはキャラクターデザインを担当した安良和彦氏の描き下ろし。2008年6月30日までの期間限定生産
(C)創通・サンライズ

Gacktのガンダムカバーアルバム『0079-0088』の通常版(価格2,500円)。このほかアムロとシャアそれぞれのオリジナル台詞の入った、2種類の生産限定版(価格各2,700円)を発売