既報の通り、米Adobe Systemsは13日 (米国時間) に、Flashテクノロジにおけるリモーティングおよびメッセージング関連の技術を、「BlazeDS」という製品名でオープンソース化することを発表した。これを受けてアドビシステムズ(以下、アドビ)は18日、プレス向けの説明会を開催してBlazeDSのリリースに関連した同社のオープンソース戦略を明らかにした。

アドビシステムズ マーケティング本部 エンタープライズ&デベロッパーマーケティング部 部長 小島英揮氏

BlazeDSは、後述するLiveCycle Data Service ESのリモーティングおよびメッセージングに関する機能を、LGPL v3 (Lesser General Public License)に基づいてオープンソース化したもの。すでにAdobe Labsにおいてベータ版が公開されている。また、それと同時に同社のバイナリ通信フォーマットであるAMF (Action Message Format) の仕様についても公開されている。Adobe AIRに関連して同社のRIA戦略が注目される中、今回のオープンソース化の狙いは何なのか。同社マーケティング本部エンタープライズ&デベロッパーマーケティング部部長の小島英揮氏が語った。

まず、アドビではエンタープライズ分野に対するRIA (Rich Internet Application) 技術を「Enterprise RIA」と位置づけ、これを推進するアプリケーションおよびソリューションを積極的に提供してきた。小島英揮氏によれば、アドビシステムズ社が提供するRIA技術の中で、Enterprise RIAを実現するために以下の4つをとくに重要な要素として位置付けているという。

  • Flexフレームワーク
  • Adobe AIR
  • データコネクティビティ
  • オープンソース戦略

このうちFlexフレームワークは同社のRIA戦略の根幹を成す開発フレームワークで、ランタイムであるFlash PlayerおよびAIR、開発キットであるFlex SDK、統合開発環境であるFlex Builder、そしてリモーティングやメッセージング、データマネジメントなどの各種サーバ技術から構成される。

Adobe AIRはFlash技術をベースとしたデスクトップ向けのリッチアプリケーション実行環境で、現在Adobe Labsにおいてベータ版が公開されている。Adobe AIRを利用することで、これまでブラウザ上に限定されていたRIAの機能をデスクトップにまで拡張できるとして、デザイナだけでなくデベロッパからも強い関心を集めている。

さて、FlexおよびAIRはRIAのための基盤となる技術であるが、これをより活かすための課題として同社が掲げているのが"データコネクティビティ"だ。小島氏は、従来のデータコネクティビティ手段では生産性や再利用性、パフォーマンス等の面で不十分な点が多くあると指摘する。

たとえばエンタープライズアプリケーションではHTTP経由のXML/SOAPを利用して通信を行うのが一般的だが、速いレスポンスが求められるリッチクライアントにとってはパフォーマンス面で十分とは言えないという。また、サーバサイドのビジネスロジックを書き換えなければならないというデメリットもある。

RIAを活かすためのデータコネクティビティ