2.5GHz帯の電波を用いた、ブロードバンド無線アクセスシステム(BWA)事業化を目指し、免許申請している4社による公開カンファレンス(総務省で22日開催)で、ソフトバンク/イー・アクセス連合のオープンワイヤレスネットワーク(OpenWin)代表取締役の孫正義氏(ソフトバンク社長)は、一部の報道でKDDI陣営とウィルコムが「当確」「有力」とされたことに強く反発、資本構成やこれまでの実績についてさまざまな疑問を呈し、熱のこもった弁論を展開した。

左からアッカ・ワイヤレスの木村正治社長、ワイヤレスブロードバンド企画の田中孝司社長、オープンワイヤレスネットワークの孫正義代表取締役、ウィルコムの喜久川政樹社長

オープンワイヤレスネットワークの孫正義代表取締役

孫氏は「KDDI陣営とウィルコムが有利だとの報道があったが、これら各社の申請内容を見てあらためて言えることは、両社には、我々が想定していないような特別の技術や、設備投資などがあるとはまったく感じられなかった。また、(KDDIが中心の)ワイヤレスブロードバンド企画はモバイルの高速化について、パソコン、携帯電話、いずれを主体とするのか」との質問をぶつけた。さらに「KDDIは2000年6月に、第3世代携帯電話(3G)向けに2GHz帯の周波数を大幅に割り当てられているが、この7年間でどれだけ使っているのか。我々は3Gの基地局を4~5万局設置したが、KDDIは2GHz帯では6,200局程度しか設けていない。あまり有効利用してはいないのではないか」と指摘した。

ウィルコムに対しては次のように述べた。「ウィルコムの筆頭株主はカーライルグループだが、ウィルコムは加入者純減を繰り返している。そのような状況で、財務的なリターンを得ることが使命である外資系投資ファンドが、(たとえば)20年間ウィルコム株を売らない保証はあるのか。ソフトバンクがプロ野球団を買ったときでさえ、20年は売却しないと一筆入れるようにといわれた。(10月に倒産して免許を返上した)アイピーモバイルの例もある。また、ウィルコムのカーライル以外の株主は京セラとKDDIであり、ワイヤレスブロードバンド企画の株はKDDIと京セラでほぼ50%をもっている。同一のグループとみられても仕方のない、ワイヤレスブロードバンド企画とウィルコムが割り当ての2枠ともとったとしたらちょっとおかしいのでは」

ウィルコムの喜久川政樹社長

これに対して、ウィルコムの喜久川政樹社長は「カーライルは中長期で株を保有する。短期で売るということはない。彼らからの投資を受ける以前にも純減だったことはある。たまたま申請の際に純減だっただけで、また復活する。カーライル側も特に危機感はもっていない。期待感をもってサポートをしてくれている。京セラはたまたまウィルコムとKDDIの株主になっているだけだ。1985年に京セラが新電電に出資して第二電電(DDI)ができ、その延長線上で、KDDIとウィルコムが生き残っているとの歴史的経緯がある。ウィルコムがKDDIから独立したとき、出向などをスムーズにするよう10%の資本を残しただけで、経営には関係ない。イー・アクセスもアッカの株をもっているのでは」と反論する。