間違いない。鈴木亜美は俺を見ていた――。

僕がそう言ったときの、友人の哀れみの視線が忘れられません……。

ええと、いったい何の話かと言いますと、『XX(エクスクロス) 魔境伝説』の舞台挨拶の話です。

2002年第1回「このミステリーがすごい!」大賞で話題になった『そのケータイはXX(エクスクロス)で』(原作:上甲宣之)を映画化した「XX(エクスクロス) 魔境伝説」。その舞台挨拶が25日、新宿ミラノ座で開催された東京国際シネシティフェスティバル2007にて行われるということだったので、電車を乗り継ぎ、歌舞伎町へ足を運んで参りました。では、さっそくその一部始終をレポートすることにしましょう。

賢明な読者諸兄は、僕の映画本編レビューをご覧になって既にお気づきのことと思いますが、今回の取材の目的はただひとつ。そう、『XX(エクスクロス) 魔境伝説』での松下奈緒と鈴木亜美の入浴シーンについて、本人の口から何かしらの秘話を聞き出すことです!

「ジェットコースタースリラー」と呼ばれる本作。どんな内容なのかはレビューをご覧くださいね

「あのシーン、実は一瞬だけタオルが取れちゃったんですよね~」とか、そういう情報がぽろっとでも出ようものなら、僕は映画公開後に5回は見に行くので、そのためのお金を今から貯めないと!

そんなこんなで、僕が妄想という名の期待を膨らませつつスタンバイしていると、時間ぴったりに舞台挨拶がスタートしました。

観客の「きゃー!」という歓声が起こる中、舞台に登場したのは、本作品の監督である深作健太監督、主人公しより役の松下奈緒、謎の女レイカ役の小沢真珠、しよりの彼氏である朝宮役の池内博之、本作品の主題歌を担当し今回が初来日となるアーティストAly&AJ、そしてしよりの親友愛子役であり、個人的にもっとも注目している鈴木亜美(いやあえてアミーゴと呼ばせてもらおう!)という超豪華な面々。

日本最大級を誇るスクリーンの前に登場したゲストたち。左からAly&AJ、池内博之、松下奈緒、鈴木亜美、小沢真珠、深作健太監督

特に、黒やグレーの衣装でシックに決める出演者が多い中、アミーゴは背中がざっくりと開いた紫のドレスを綺麗に着こなしており、僕は「ああ、アミーゴも大人になったんだなあ……」と、お父さんのような気持ちで微笑みながら彼女を眺めていました。自分で言うのもなんですが、あのときの僕は相当気色悪い顔をしていたと思います。なんか隣の人も若干引いてたもん。

僕らのアミーゴ!

さて、去年の今頃にちょうど撮影していたという本作品。松下奈緒の「かなり体力や精神力を使う役だったので、体当たりで演じました。それがこの大きなスクリーンで伝わればいいなと思います」というコメントからも、その大変さが伝わってきます。

主人公・しよりを演じた松下奈緒。ハキハキと喋る素敵なお姉さんでした

……しかし去年の今頃ということは相当寒い時期の撮影だったわけで、つまりあの入浴シーンも二人は鳥肌を立てながら演じていたというわけですね! よし、次見るときは鳥肌に注目しようっと!

とまあこんな風に、何でもかんでも入浴に結び付けて考えるのはダメな大人の例なので注意してくださいね。

そして、本作品の見所を、「一見するとホラーですが、女の熱い友情が描かれています。驚くようなシーンもたくさんあるのでゾクゾクしながら見てください」と語ったアミーゴ。そういえば友情という観点からすると入浴シーンは意外と重要な場面なので皆さんしっかり見といてくださいね。いかん、また入浴の話になってしまった。

……話を戻して、「XX(エクスクロス) 魔境伝説」といえば、やはり外せないのはつっこみ所の多さ。特に注目なのは、ロリータな衣装に巨大なハサミという、どこからつっこめばいいのかわからない格好で主役級の存在感を放っていた謎の女レイカです。

この笑顔すらも恐ろしく思えてくる……。ロリータファッション+眼帯+巨大ハサミというイデタチは必見

彼女を演じた小沢真珠は、司会者の「どのような役作りをされたのか気になります」という、おそらく見た人全員が気になっていたであろう質問に、「今までキャラの強い役はたくさんやってきたつもりなんですが、上には上がありました。私が出るシーンについてはお化け屋敷にきた感覚で楽しんでください」と答え、会場を沸かせていました。

また、池内博之の「ホラーですが、めっちゃ爆笑してください」というコメントや、深作健太監督の「上映中はお静かになさらず、悲鳴を上げたりつっこんだり、大騒ぎしながら楽しんでください」といったコメントからも、この映画をつっこみながら見ることは正しい鑑賞法だったことが判明! 公式に許可も出たことですし、ご覧の際はぜひ容赦なくつっこみを浴びせてやってください。

しよりの彼氏役を好演した池内博之

「小さい頃から通っていたミラノ座で自分の映画をかけることができて嬉しい」と深作監督

その後、主題歌を担当したAly&AJからは「こんな体験が出来て本当に光栄です。映画に参加させていただいてありがとうございます。キャストの皆さんとお会いできたのも嬉しいです。トウキョウサイコー!(ここだけ日本語)」とのコメントが。

コメントの内容自体はさておき、恐るべきは彼女たちの人形のように整ったルックス! そのあまりの美しさに、会場からもため息が漏れていました。何しろアミーゴアミーゴとうるさかった僕でさえ、このときばかりは「Aly&AJサイコー!」とガッツポーズで叫んでしまいましたからね。

若い女性からの熱狂的な歓声を浴びていたAly&AJ

といった具合に、国境を越えて美女が集まった今回の舞台挨拶。締めくくりのコメントとして、松下奈緒が「怖いときは叫んで、面白いときは笑いながら見てください。でもあまりびっくりして椅子から落ちないように気をつけてくださいね」と語ったように、この作品は自分の感情を正直に解放して見るのが最高に楽しめる鑑賞法なのです。

だから僕も、自分の感情を隠すことなく解放したいと思います。

……入浴シーンサイコー!!(そういえば入浴シーンの秘話とか一個もなかった!)

舞台挨拶後の囲み取材

ロビーに設置されたボードにサインを求められる2人

楽しそうにサイン

「書きながらこっち目線くださーい」というカメラマンの無茶な要求にもニッコリ

何を書いたのか……? 拡大!

『XX(エクスクロス) 魔境伝説』は12月1日より全国東映系ロードショー。

山田井ユウキ

レビューサイト「カフェオレ・ライター」主宰。サイトでのP.N.は「マルコ」。映画はもちろんマンガ、ゲーム、さらにはBL作品に至るまで幅広くレビュー記事を執筆、その独特な視点とテンポのよい文章で人気を博し、このほど累計1千万アクセスを突破した