山村幸広エキサイト代表取締役社長

エキサイトは、無料コミュニケーションソフト「Skype」を提供するSkype Technologiesと業務提携し、両社の共同ブランドで「エキサイト Skype」の提供を開始する。エキサイトのWebサイトからダウンロードが可能で、今後、エキサイトのサービスとSkypeを組み合わせたサービスの提供も行う予定だ。

Skypeは、世界最大のコミュニケーションサービスで、2007年9月末時点の登録ユーザー数は世界で2億4,600万人、国内でも500万ユーザーを突破している。インスタントメッセージに加えて音声通話、ビデオチャット、ボイスメールなどの機能を備え、固定・携帯電話に対しても有料の音声通話を行うことができる。

Skype提携先をライブドアからエキサイトへ

これまでSkypeは、国内ではポータルのライブドアと提携し、ライブドアのサイトからSkypeを提供してきた。この契約は2年間契約となっており、このたび契約期間が切れることから、新たに自社でIMサービスを持っていないエキサイトと提携した。エキサイトの山村幸広代表取締役社長やSkype日本オフィス岩田真一ジェネラルマネージャーによると、両社の交流は1年ほど前から始まり、提携については半年にわたって話を進めてきたという。

今回の提携にともない、エキサイトではエキサイト Skypeソフトをサイト上で提供。専用サイトを展開するとともに、ユーザーサポートも提供する。これまでSkypeでは国内でのサポートは提供してこなかったが、エキサイトのサポート部隊がユーザーサポートを提供することになる。

両社の提携のメリット。両社は競合する領域がなく、すべてでシナジー効果が出せる、としている

エキサイト Skype。新たに「excite」タブが用意され、検索やニュース閲覧が可能になっている

Skypeとエキサイトで独自のサービスを提供

同時に、Skypeのビデオチャット機能と自社サービスを組み合わせたサービスを提供していく意向で、エキサイトブログにSkypeをすぐに開始できるブログパーツを提供するほか、美容院のポータルサイト「ビューティナビ」で、美容院が顧客のアフターフォローをするサービスを検討。また、現在音声電話によって提供している「エキサイト電話占い」では、ビデオチャットによる占いも提供していく考えだ。

エキサイトは現在、2,400万ユーザーを抱えており、こうしたユーザーへSkypeを訴求していくことでSkypeの国内ユーザー数を1,000万規模に拡大させたい意向。そのために、エキサイトフレンズ、エキサイト恋愛結婚など、ほかのサービスに対してもSkypeとの連携を図っていき、「次の新しいタイプのWebツールを実現していきたい」(山村社長)という。

今後、提携にもとづいてさらにサービス開発を続けていく計画で、Mac OS版のエキサイト Skypeを近く公開するほか、ビデオチャットを使った英会話サービスなどを検討。エキサイトのオフィシャルツールとして、「あらゆる(エキサイトの)サービスからIMが使えるようにしたい」(エキサイト常務取締役 メディア本部長 坂本孝治氏)考え。

Skypeでは、個人でも簡単に有料課金サービスを提供できる「Skype Prime」サービスを提供しているが、こうした仕組みを利用して、エキサイトの有料課金サービスを提供していく意向。今後もさらに、エキサイトのサービスを組み込んでいく。

ビデオメッセージを寄せたSkype CEOのマイケル・ヴァン・スワージ氏は、「両社のブランドの結合は大きな意味を持ち、両社のコミュニケーション・プラットフォームはきわめて相乗効果の高いものになる」と話す。

Skypeのグローバルマーケット戦略担当重役スコット・バグビー氏によれば、Skypeの戦略的パートナーを構築することで各国のサービスを拡大してきた。ライブドアに変わってエキサイトと提携することでさらにユーザー層を拡大していきたい考えだ。

マイケル・ヴァン・スワージSkype CEO

Skype グローバルマーケット戦略担当重役スコット・バグビー氏

Skypeの岩田氏は、エキサイトと提携したことで、これまではリソースの問題で開発できなかった新しいアイデアが実現できると話し、両社で協力して新サービスの開発を進めていく意向を示している。なお、Skypeでは近日中に新バージョンとなるバージョン3.6の正式版を公開する予定で、ビデオチャットの動画品質がVGA、30fpsに向上、より高画質のビデオチャットが行えるようになる。