【インタビュー】
日本オラクルは、データベース専業ベンダから大きく変貌し、ERP(Enterprise Resource Planning)、CRM(Customer Relationship Management)、BI(Business Intelligence)など、幅広いアプリケーションを備え、企業向けITの領域に多角的にソリューションを提示している。同社は製品体系の層を厚くするだけでなく、ソフトをサービスとして捉え、ネットワークにより供給するSaaS(Software as a Service)にも着手している。同社が現在掲げているSaaS戦略を、同社の執行役員 アプリケーション推進本部長 藤本寛氏に聞いた。
SaaSといえば、サービスを提供するベンダ側のデータセンターにソフトウェアがあって、ユーザーは常時、それを使うことができ、料金は基本的に月額というような形態を意味するが、広義では、ソフトを"サービス"と位置づけ、ホスティング環境にソフトを用意して、料金は一括、といった場合もある。
現在、オラクルが推進している「Oracle Siebel CRM On Demand」では、マルチテナント※から一歩進んで、グリッド技術を利用して、一般にいわれているSaaSからは一歩先を行っている。ユーザーごとの環境を整える「On Premis(自社内での運用型)」、とSaaSのハイブリッド型がある。
※ SaaSでは「テナント」と呼ばれる形式が1つの軸となる。基本的にそれぞれのユーザごとにサーバやデータベースを用意してサービス(機能)を供給する「シングルテナント」と、単一のサーバを複数ユーザで共有する「マルチテナント」がある。「シングル」は可用性が高いことが利点だが、その反面、運用コストが低くならないといわれ、最近は「マルチ」が主流となっている。効率性が高く、迅速に導入できることが評価されているためだ。だが、可用性では「シングル」に一歩譲るのでは、とする指摘もある。
これまでは、SaaSの導入を考えるときは、サービス、あるいは技術面で何ができるか、との視点だけで論議されていた。多くのケースで見えてくるのは、企業がシステムを導入する際、業務改革を標榜する場合には、ERPの利用を検討したり、顧客との関係性を変えたり、あるいは中期的な経営戦略、事業戦略を策定する、といったその会社全体の取り組みとしてITのプロジェクトを吟味し、その結果、ゴールとしてのあるべき理想像を思い描く、ということになる。このような局面では、「On Premis」が適している。あせらず、時間をかけて構築していくことができるからだ。
一方、それまで手書きで実行していた業務を自動化/効率化するというような、まずは、業務を改善しようといった水準では、スピード感が必要になり、そこにソリューションを提供しようとすると、(短時日で導入できる)SaaS型がふさわしいのではないか。オラクルは「On Demand」と「On Premis」を用意して、業務改革か、あるいは業務改善か、顧客企業の要求にあわせ、柔軟に対応できる。それぞれに強みのある、この2つの形式をそろえているのは、ベンダとして競合に対し優位であると考えている。
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