【インタビュー】

来年2月には完全OSSのFlexをリリース! Flex OSS化戦略のキーマンHeintz氏

1 FlexのOSS化はAdobeの戦略的取り組み

    後藤大地  [2007/11/09]

    どのプラットフォームでも同じUIを保証し、滑らかな動作を保証するFlex。同技術は、Mozilla Public Licenseのもとでオープンソースソフトウェアとして公開することが発表されており、開発者の注目を集めている。本誌は、そのFlexのオープンソース化戦略のキーマン、米Adobe Systems、Flex Senior Product ManagerのSteven Heintz氏に話を聞く機会を得たので、その模様をお伝えしよう。

    FlexのOSS化はAdobeの戦略的取り組み

    米Adobe Systems、Flex Senior Product ManagerのSteven Heintz氏

    Steven Heintz氏は、Senior Product Managerという立場からFlexのOSS化作業に携わっている。FlexのOSS化はAdobeにとってかなり戦略的な取り組みとされている。ミクロなレベルで見ると、上級デベロッパのリサーチ業務の手助け、コミュニティへの貢献、信頼性の向上といった効果が期待できるが、マクロなレベルで見ると、Adobeが今後推進していくOSS戦略の1つの試金石と位置づけることができる。

    エンジニアの中には、AdobeがOSSプロダクトを展開することに違和感を覚える方がいるかもしれないが、同社は以前からFLOSSプロジェクトとの関係を積極的に進めている。例えば、2006年11月7日(米国時間)には、AdobeがActionScript仮想マシンのソースコードをMozilla Foundationへ寄贈することが発表されている。この寄贈物はTamarinの名のもとで提供され、Firefox 4で採用される予定だ。Tamarinは一言で言うと、高性能JavaScript仮想マシンである。同寄贈がFirefoxにもたらす利益は多大なものになるだろう。

    最近ではソフトウェアベンダが自社プロダクトをFLOSS化する例が少なくないが、ビジネスという点ではまだまだ新しい取り組みだ。自社ポートフォリオをソースコードレベルで公開することは諸刃の剣だと言える。当然、Adobe社内でもFlexをOSS化するには相当賛否両論あったようだ。しかし、OSS化によって得られる利点を強調した結果、最終的に同意が得られたという。

    顧客の利益を守るため、FlexのライセンスにはMPLを採用

    OSSのFlexが、ユーザやデベロッパに提供されるのは2008年2月になる見通しだ。配布するためのインフラ整備はもちろんのこと、関連各社とのアグリーメントを推進している最中だという。完全なOSS化を目指しているため、すべての契約関係をクリアにする必要があるわけだ。特にサードパーティアグリーメントの問題を解決する部分に時間がかかっているようだ。

    FlexのOSS化に際して同社が採用したライセンスはMPL(Mozilla Public License)だ。どのOSSライセンスを採用するかについてはかなり時間をかけて検討したという。Sun Microsystemsの例にあるように、このような場合ではGPLを採用することも多いわけだが、同社はMPLを選択した。FlexでGPLを採用した場合、例えライセンス的に問題がないように整備したとしても、採用した企業には、自分たちのソフトウェアのソースコードも公開しなければならないのではないか、という不安材料が常に付きまとうことになる。この点を懸念したようだ。Adobeが目指しているのはFlexのOSS化であって、企業のプロプライエタリな部分をさらすことではない。このためライセンス的にそうした利用が明確なMPLを採用したわけだ。

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