【レポート】
インターネット利用が盛んな韓国では、子どもや未成年による利用も大変多い。韓国インターネット振興院による「2007年 上半期 情報化実態調査」(3歳以上の2万5,654人を対象に実施した調査)によると、3~5歳の子どものインターネット利用率(最近1カ月以内にインターネットを利用した比率)は51.6%、6~19歳は98.7%と、高い数値を示している。
しかし、ネット利用が盛んな裏側には負の効果もあるようだ。インターネットや(オンライン)ゲーム中毒だ。中毒とまではいかなくとも、利用に歯止めがきかなくなって、学校や日常生活に支障をきたしたり、有料サービスの料金が払えなくなったりするなど、金銭的なトラブルにつながることもあるのだ。
こうした動きを食い止めるため、韓国では既に政府や企業が積極的な取り組みを始めている。
韓国政府の文化観光部傘下にある韓国ゲーム産業振興院は、ゲームによる中毒など逆効果の解決に向けて、教材を制作したと発表した。
教材には青少年用の映像教材と、教師と保護者向けのガイドブックの2種類がある。
映像教材はアニメーション形式で、実際の青少年なら日常的にありそうなシーンごとに、ゲームに関する問題を絡める形でストーリーが展開する。韓国の青少年が好きな「シチュエーション・コメディ」(同じ登場人物で、その都度ストーリーが変わる形式のコメディドラマ)方式となっており、この中で問題提起から解決に向けた過程までが示されている。
一方、教師と父母用のガイドブックは、ゲームの歴史や用語といった基本的なことから、ゲームの効果解説、ゲームを適度に楽しむ方法にいたるまで、ゲームを分析できるあらゆる資料が提供される。子どもに、ゲームに関する正しい知識を与えられるような構成だ。
同部では既に2002年からゲーム関連の教材を開発してきており、全国9,700カ所、約18万部を配布した実績がある。それでも「ゲーム文化に関する教材が不足している」「学校や家庭におけるゲーム利用について、環境改善や指導が行き届いていない」(韓国ゲーム産業振興院)との認識から、現実の深刻さが伺える。
韓国最大手のポータルサイト「Naver」を運営するNHNは、韓国情報文化振興院と共同で、全国の小学校を巡るインターネット教室を展開している。
「やって来るインターネット倫理教室」では、小中学生を対象に、インターネット上のエチケットや正しい韓国語の使い方、インターネット中毒予防法、スパムメールやウイルスへの対処法など、さまざまな分野にわたって講義が行われる。
ちなみに上記で挙げている正しい韓国語の使い方についてだが、インターネット上では若者を中心に崩した言葉が多く使われており、それに影響を受けた子どもが日常会話にまでそれを用いてしまうなどの現象が発生しているのだ。
こうした内容を教えるのは、韓国情報文化振興院から派遣された専門講師だ。とはいえ長時間の授業でも、子どもが飽きずに興味を持ちながら学べるよう、授業内容はクイズやゲーム形式で進行するなど工夫もなされている。
NHNでは「小中学生は倫理意識が目覚める時期」と述べ、この頃の青少年に集中的に倫理教室を展開する理由について語っている。
この「やって来るインターネット倫理教室」は、2008年10月まで全国200カ所の学校で行われる予定だ。
さらにこの教室と並行してNHNでは、山間部や農村など、比較的インターネット利用が盛んではない地域でも教育活動を行う予定だ。「インターネット基礎教室」と名付けられたこの講義では、倫理というよりも、インターネットの基本的な使い方を学ぶこととなっている。
Naverといえば韓国最大のポータルサイトだが、それだけに悪意のある書き込みや掲示板の炎上など、インターネットならではの逆効果も多い。NHNではこれに対し、コメント書き込み機能の制限や改善など、以前から熱心に取り組んできた。今回のような教室を開設するのも、最終的にはこうした逆効果を減らしていきたいという意図がある。
教材配布や教室開設などの取り組みは、韓国では比較的活発に行われている。しかし、それでもインターネットおよびゲーム中毒の問題は深刻になっており、結果、公共機関や企業が教育不足を感じているところだ。
子どもの非行などとは異なり、比較的新しい教育分野であるインターネットについては、環境さえ整えばアクセスできるという性格上、子ども自身だけでなく親も教育が必要な状態だ。日本でも今後は、学校で「インターネット倫理」といった時間が設けられたり、保護者のための教科書が多く出てきたりするといった状況になっていくかもしれない。
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