「Symbian OS」などで知られる携帯電話向けOSの大手ベンダーである英Symbianが再び勢いに乗っている。今年初め、子会社でUIの提供を行っている英UIQ Techonology(以下、UIQ)を英Sony Ericssonに売却、今度は米MotorolaがUIQへの資本出資を発表した。ナンバー3の携帯電話メーカーである韓国Samsungもこのところ、相次いでSymbian OSベースの携帯電話を発表し、コミットを表明している。このように、Linux、WindowsなどマルチOS戦略をとってきた大手2社がSymbian OSのサポートを改めて示したことは、Symbianにとって心強いニュースだ。

Symbian OSのシェアは現在70%以上といわれているが、米Appleの「iPhone」など、スマートフォン市場が騒がしくなる中、同社はどのような戦略で勝ち抜いていくのだろうか。同社の戦略担当副社長であるJohn M. Forsyth氏に話を聞いた。

Symbianの設立当初から同社で勤務しているという戦略担当副社長のJohn M. Forsyth氏

――MotorolaによるUIQへの資本参加、SamsungのSymbian OSへのコミット発表など、Symbianにとって良いニュースが続きました。現在の状況をどう思われますか?

Forsyth氏:市場シェアのデータを見ると、われわれはこれまでも劣勢になったことはありませんでしたが、このところ再び軌道に乗ってきたという感触があります。2年ほど前、長期的な展望について疑問の声もありましたが、ここにきて、設立当初目指していた方向性に再びフォーカスしたという感じです。

私はSymbianに9年勤務していますが、これまで浮き沈みもありました。MotorolaがSymbianの株式を売却した際は、株主、そして顧客を失う気分で、社にとって厳しい時期でした。現在、最初の夢が再び実現しようとしています。Symbianのルネサンスといえるでしょう。今回のMotorolaの発表はこれを象徴するものといえます。

Symbianは独立して運営されてきましたが、われわれにとって重要なことは、Symbianの独立性を対外的に示すことです。そのため、UIQの取引(英Sony EricssonがSymbianより買収、その後Motorolaが資本参加)は重要です。UIQには独立して欲しいと思っていたので、今年に入ってからのUIQ周りの動きには満足しています。独立性を示すために、日本の顧客は重要です。最大株主であるNokiaは大きな顧客で、心強いサポーターですが、UIQが独立したことでSymbianの独立性を示すことができます。さまざまな顧客にSymbian OSを採用して欲しいと願っています。

それから、現在、体制は万全といえます。