【レポート】

仁義なき"三国時代"に突入 - 中国で次世代DVD競争が熾烈に

1 BD陣営 - 華録集団を橋頭堡に、中国市場攻略めざす

    戴玉才  [2007/11/02]

    次世代DVDを開発する英国のNew Medium Enterprises(NME)は9月上旬、米国デンバーで開かれた「CEDIA Expo 2007」の会場で、赤色レーザーを使う次世代DVD規格「HD VMD(Versatile Multilayer Disc)」の対応プレーヤーをリリースした。中国における次世代DVD規格をめぐる競合は、HD VMDと同じく赤色レーザーを使用する中国独自規格の「Enhanced Versatile Disk(EVD)」「CH DVD」「Blu-ray Disc (BD)」の「三国鼎立」の情勢に変わりつつある。本レポートでは、"三国"各陣営の動きをお伝えしたい。

    BD陣営の主要メンバーとなった華録

    中国華録集団(China Hualu Group、華録)は8月30日、中国企業として初めて、BD陣営の企業で作る団体であるBlu-ray Disc Association(BDA)のメンバーシップレベルの1つ「Contributorクラス」のメンバーとなった。HD DVDに基づく中国独自規格とEVDがしのぎをけずる間に行われた華録のBD陣営加盟は、中国市場の形勢を決める「第三の勢力」になる可能性すら秘めるとして注目されている。この点、中国は世界より一足早く、次世代DVD規格をめぐる三国鼎立の時代に突入したとも言える。では中国市場で姿をあらわしつつある三国鼎立とは、いかなるものなのだろうか。

    華録は中国最大のAV機器メーカーで、DVDプレーヤー、ホームシアター、液晶TVなどから、光学ピックアップやドライバーなどのキーコンポーネントまで広範な品揃えをもつ。また華録は、AVコンテンツのプロバイダーでもあり、DVDやCDの製作、映像編集、いわゆるPost-Productionなどにも携わっている。同社は国務院国有資産監督管理委員会(State-owned Assets Supervision and Administration Commission of State Council)直属では唯一の消費家電メーカーであり、中央政府と太いパイプを持ち、中国のデジタル産業政策と同発展戦略の策定に影響力を持っている。

    華録はBDAに加盟する際、中国が独自の知的財産権を持っている映像コーデック「DRA」と音声コーデック「AVS」の両規格をともに、BDAのパテントプールに提出すると約束した。中国で情報通信政策を担当する行政部門である信息産業部により、前者は業界規格として、後者は国家規格として採用されている。これによって両規格の策定に貢献した企業数社もBDAメンバーとなるため、BD陣営の中国における地盤が近いうちに強化される可能性は高い。

    また、BDA のContributorクラスのメンバーカンパニーは、Blu-ray Disc規格に対して提案権を持っているため、華録がBDAに中国企業の要望を反映することが期待されている。こうして見ると、華録の加盟により、これまで中国では存在感が希薄でユーザーとの距離も遠かったBD陣営が、一挙に中国の産業界、政府、市場と接点を持つようになったわけである。言い換えれば、華録の加盟により、BD陣営は中国市場進出の橋頭堡を築けたのだ。そしてより重要なことは、華録自身も橋頭堡としての役割を積極的に果たそうとしていることにある。

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