第十期全人代常務委員会第29回会議で、中国初の独占禁止法「反独占法(草案) 」が可決された。1994年から全人代の立法計画に入れられ、13年間も論議されたこの法律が、ようやく可決されたわけである。

独占禁止法は、世界各国で、公平な競争や市場経済秩序を維持するための重要な法的保証となっている。一部の西欧諸国では100年も前に関係法を制定しているが、中国の独占禁止法制定は、実に1世紀も遅れをとった。

まず、現状を見てみたい。現在、中国市場には主に2種類の独占行為がある。1つは、公共分野の企業による独占行為。典型的なものは通信、水道、鉄道、公共交通、貨物運輸、航空、原油、天然ガスなどだ。もう1つは中国国内で活動する多国籍企業による独占行為。たとえばコンピュータのOS、感光材料、タイヤ、ネットワーク設備、カメラ、ソフトウェアパッケージなどが該当する。この2つの独占行為は、いずれも消費者の合法的な権益を侵害している。

中国のWTO加盟や中国国内市場の対外開放にともない、外国の資本と商品が全面的に中国に進出している。独占禁止法の可決は、中国に公平で自由な市場競争環境を提供し、消費者の権益保護、中国が堅持する全面的な対外開放政策の維持や市場ルールの確立、経済貿易体制のグローバリゼーションにも寄与するものとみられる。

「国家の安全に支障」のある買収には2種類の審査

この法案は、さまざまな「独占行為」を禁止している。たとえば、経営者間の独占協定、市場支配地位の濫用、競争効果の排除などがその対象となっている。また、国家権力による競争排除、制限行為に対しても明確な規定が設けられている。国家の安全に支障をきたしそうな外資による買収案件については、今後2種類の審査を行うことが義務付けられた。

多国籍企業は世界経済のメーンプレイヤーであり、先進諸国が対外投資をする際の主要なプレイヤーとなっている。世界のトップ500社のうち、すでに300社余りが中国へ投資している。これらの投資は、中国で生産される商品の品質向上、産業構造の改善、技術オーバーフロー効果といった面においては意義がある。しかし、中国国内企業の実力はまだ弱く、いまだ多国籍企業と太刀打ちできる段階にはない。その結果、短期間で外国籍企業が中国国内でシェアを握るケースが増えている。