そしてSamsungの見るMarket Positionであるが、それでも2008年の時点では10%前後のシェアしかなく、2009年の時点でもまだDDR2と半々、と予測していた(Photo24)。

Photo24:X38もなし崩しにDDR2のサポートを追加したりした結果、AMDではShanghai、IntelではNehalemが出てくるまでは、DDR3でないと使えないという状況にならなくなってしまった。なので、両者の交代が2009年以降にずれるのは当然とは言える。あとはSamsungのシナリオで言えば、Fastの方になるか、Slowの方になるかが今後の焦点になるだろう。

ちなみに他のベンダーは、というと例えばELPIDAの場合(Photo25)、現在の90nmプロセスでは512Mbitどまりであり、1Gbit品は全量70nmプロセスに移行することが明らかにされている。DDR3-1600もこの70nmプロセスで実現される模様だ。

Photo25:こちらはTechnology Showcaseで同社が流していたプレゼンテーションより。赤丸が付いているのが主流になる製品の模様だが、DDR3-1600についてCL11の比重が大きいのは、サーバー用途だろうか?

同様にQimondaもMobile向けセッションの中で、簡単にDDR3のロードマップを示している。Mobile向けはやや遅れ2008年からの導入になるわけだが(Photo26)、この時点で1Gbit品がメジャーとなり、2010年には2Gbit品も立ち上がる事が示されている(Photo27)。ついでにこのMobile向けに関する話を少し触れておく。

Photo26:DDR4については、また話が色々錯綜している。そんなこともあってか、DDRxという表記になっているのがちょっと面白い。

Photo27:プロセスについては不明だが、Qimondaの場合75nm及び58nmのプロセスをWinbondに技術提携することが発表になっており、恐らくは1Gbitが75nm、2Gbitは58nmを使うのであろう。

DDR3ではThermal SensorがDIMM(というか、この場合SO-DIMM)に搭載されるのに加え、ダイ上にも温度センサーが搭載されることになる(Photo28)。この温度センサーからの出力を元にASR(Auto Self Refresh)を使うことで、温度管理がより容易になるとしている(Photo29)。勿論これはMobile向けのみならずDesktop向けにも有効な手法だが、放熱が相対的に難しく、結果として温度が上がりやすいMobile向けにとって、DDR3はより温度管理をしやすくなるというのがその骨子である。加えてDDR3は消費電力そのものも減っているから(Photo30)、Mobileには最適である、というのが同社の主張であった。実のところ、本当に温度管理をするためには、動的に周波数とか電圧を(それこそEISTの様に)変えられないと、何らかの理由で温度が上がりすぎた時に単独で解決する方法がない訳であるが、今はシステム的な対処(例えば給排気ファンの回転数を上げるetc)で対応することを前提に、とりあえず動的に監視できれば十分という判断なのであろう。

Photo28:DDRの世代は温度管理の手法は一切無く、最悪値を使っての設計。DDR2世代ではSPDの情報を元に静的な温度管理が可能になったが、DDR3では動的な温度管理が可能になった、という話。これを実現したのはODTS(On Die Thermal Sensor)ということだ。

Phtoo29:Self-Refreshというのは、メモリコントローラからのRefresh要求なしに、勝手にDRAM自身がRefreshサイクルを実施する方式。温度が上がる場合、Refresh頻度を上げることでデータの破壊を抑えるという仕組みだ。

Photo30:こちらはDesktop向けのDDR3-1333とDDR2-1066の比較。まぁ当然DDR2-1066の方が発熱は多いであろう。