さて、それ以外の話である。まず225W-300W Power Specificationであるが、こちらも意外に遅れている(Photo10)。今年5月の時点では今年中にRelease 1.0にたどり着きたいとしていた(Photo11)から、ちょっと不思議である。もっともYanes氏曰く、Featureに色々付け加えられた関係で審議が遅れているとの事。もっともSpecificationの完成を待たずに、既にカードが続々登場しているから、多少遅れても実害は無いと考えているのかもしれない。

Photo10:電源関係では"New power sequence"の文字が気になるところ。やはりPower On時の電源供給順序に関して、Standardが必要と判断されたのだろう。

Photo11:こちらは今年5月に開催されたPCI-SIG Developers Conference 2007におけるスライド。

ところでこれに関して一つ。Gen3世代ではコネクタの形状が変わり、外部コネクタ無しで300Wまで供給出来るという噂がある。出元はFudzillaのこちらではないかと思うが、これはCEMが2.0から3.0で大きく変わる事を意味する。そこで「Gen2まではSlotで75W、追加電源コネクタで最大300Wが供給できますが、Gen3ではこれを全部Slotから供給できるようになったりしませんか?」とYanes氏に投げてみたところ、「そうは思わない。先ほどのロードマップにあるように、Gen3のCEMはまだ何も決まっていないから現時点では断言できないが、それはリーズナブルでは無いと思う。恐らくGen2までと同じように、Slotからは75W供給し、追加電源ケーブルを使って最大300Wまで供給できるようにする事になると思う」という返事が返ってきた。

そもそも誤解があるのは、現在審議中の225-300W Power SpecificationというのはAdditional Specificationであって、Base Specificationそのものではない。なので、PCI Express Gen1のBase Specificationにこの225-300W Power Specificationを組み合わせることで、300WのPCI Express Gen1のグラフィックカードも存在しえることになる。つまり、

Gen1 : 75Wまで
Gen2 : 150Wまで
Gen3 : 300Wまで

という考え方がそもそも間違いで、

Gen1/Gen2/Gen3 Base Specification : 75Wまで
Base + 150W Power Specification : 150Wまで
Base + 225-300W Power Specification : 300Wまで

ということになる。このあたり、やや判りにくくなっているので注意が必要だ。

Photo12には、この225-300W Power Specificationの詳細が示されている。最初の2項目は以前から言われていたことだが、やはり重量や熱、騒音に関する規定が盛り込まれる方向で決まったようだ。

Photo12:吸気といっても、カード上面から吸い込むタイプもあれば側面から吸い込むタイプもあり、このあたりをどう解決するのかはちょっと興味ある。1.3kgというのは、現在の2slotタイプがのきなみ700~800gであることを考えれば妥当な気がするが、300Wのものは3slotが許容されるわけで、こうなってくると1.3kgはちょっと厳しい気もする。

またMini Card CEMに加えてHalf-Mini Cardを追加したHalf Mini CEM ECNが既にリリースされており、これを統合したPCIe Mini CEM 1.2がまもなくリリース予定だ(Photo13)。既にIntelはEcho PeakでMini CardとHalf-Mini Cardの両方があり(Photo14)、省スペースが重要な小型のMobile Note向けにHalf-Mini Cardを用意したという。こうした省スペースが重要視されるところにHalf-Mini Cardが広く利用されるとPCI-SIGは見ている。

Photo13:要するに高さ方向を半分にしたMini Cardである。

Photo14:これはMooly Eden氏のRoundTableの際に公開されたもの。右がIEEE802.11nに対応したEcho Peakで、中央がそのHalf-Size。ちなみに右は片面実装、中央は両面実装だとか。左は現行製品である。