Webサーバは仮想化に向かない!?

レッドハットは20日、オープンソースにおける仮想化技術の現状と同社の仮想化技術に対する取り組みを紹介する説明会をプレス向けに開催した。

レッドハット マーケティング&パートナービジネス統括本部長 纐纈昌嗣氏

説明を行ったのは、同社のマーケティング&パートナービジネス統括本部長の纐纈昌嗣氏。同氏は、仮想化技術の発展の歴史を振り返るところから始め、(仮想化は)技術自体の歴史は古く、汎用機や商用UNIX機では標準的に実装されている機能だが、「安価な標準IAサーバで利用できるようになってきたという点が新しい」と整理した。また、仮想化の技術的な得失を簡潔に紹介し、現時点での大きな問題の1つがネットワークの性能低下にあるとした。

現在のネットワークは高速化が進んでおり、ローカル接続のHDDよりもはるかに高速になっている。このため、仮想化によるオーバーヘッドの影響はHDDに比べて相対的に目立ってしまうため、現状ではネットワークアクセスが多い処理を仮想化サーバで実行するのは不向きだという。具体的には、Webサーバなどは仮想化に向かない用途だという。

このほか、仮想化に関する技術的な特徴を明確化することで、仮想化が万能の技術ではなく、メリットが得られる用途はある程度限定されるという実態を説明した。

Xen 3.1の採用とKVMのサポート

同社の仮想化技術に関する取り組みに関しては、まず現時点では10月中旬にリリースされることが予定されているRHEL 5.1にXen 3.1が組み込まれる予定が明らかにされた。Xen 3.1では、"Live migration" "Save/Restore"といった機能強化が行われているという。なお、同社の基本的な考え方としては、ハードウェアを抽象化するのはOSの基本的な機能であることから、「仮想化はOSの仕事であり、特別なミドルウェアで実現するのではなく、OS自体が担う機能」だと考えているという。このため、将来的には現在主流となっているミドルウェアによる実装はなくなるのではないかという。

これに関連して、新しい仮想化技術の実装としてLinux Kernel 2.6.20からKVM(Kernel Virtual Machine)が組み込まれるようになったことに言及し、Linuxカーネルに標準で仮想化技術が含まれるのであれば、Red Hatとしてもこれをサポートしていく、という方針が示唆されている。現時点での完成度は現行のXenのほうが上で、KVMはまだ「1年は遅れた状態」だというが、今後の展開によってはXenとKVMの互換性を確保する形で両方をサポートしていく可能性もあるという。

Red Hatの仮想化への取り組み

Xenの現状

全体的に同氏は、IAサーバにおける仮想化技術がまだ発展途上の状態であって過度の期待は禁物だという認識を強調したが、一方で「汎用機やUNIXマシンでは標準実装されている機能なので、これをLinuxでも実装することで汎用機やUNIXの用途をLinuxで置き換えていくことができるようになる」とも語っており、同社の仮想化技術への取り組みの根本動機が「UNIXでできることはLinuxでもすべて実現していく」というところにあることを暗に匂わせてもいた。