DARPA(Defense Advanced Research Project Agency)は米国国防総省の機関で、先進の軍事技術を開発するのが任務であるが、その一環として、自動で走る、本当の「自動」車の開発を推進している。これは、2015年までに地上戦闘用車両の1/3を無人化すべしという米国下院の決議を受けての研究プロジェクトであるが、自動で走る車ができれば、交通事故は大幅に減るであろうし、なにより、運転手は飲めないというような残念な事態は無くなるので、酒飲みにはありがたい。

この開発推進の一環として、DARPAは、2004年にGrand Challengeというコンテストを開始した。これはカリフォルニアとネバダの間の砂漠の道路 約130マイル(200Km程度)を完全に無人でリモコンでもない自走のロボットカーで走り、10時間以内でゴールするという目標であった。しかし、最も成績の良かったカーネギーメロン大の車でも、8時間39分かけて僅か7.4マイルを走ってリタイアという惨憺たる有様で、やはり、自動で走るというのは非常に難しいという印象であった。

ところが、翌年には、スタンフォード大学の車が131.6マイルのコースを6時間53分で走破し、2位、3位のカーネギーメロン大の車も7時間強でゴール。更に4位のチームまでが合格ラインの10時間以内のゴールであり、さらに、もう1台も10時間を若干超えたが完走するという長足の進歩を遂げた。ということで、砂漠を走るGrand Challengeは2年目であっけなく終わってしまった。

そして、2006年5月になって、それに続くUrban Challengeが発表された。Urban(市街地)の名前が示すように、今回は他の車が走っていたり、信号の無い交差点があったり、また、路上駐車の車を避けて通るというような市街地の走行で、市街地での各拠点への食糧、弾薬などの補給のような任務を念頭においた走行シナリオある。そして、交通法規やルールを守って、指定されたチェックポイントを通過し、全体で約60マイルの距離を6時間以内で走行するというのが目標である。

Urban Challengeは無人のロボットカーが市街地を走る。(出典:DARPA)

ファイナルのUrban Challengeは11月3日に開催されるが、それに先立ち、National Qualification Event(NQE)と呼ばれるセミファイナルが、10月26日から31日にかけて行われる。8月9日の午前11時頃(カリフォルニア州のサマータイムの時刻。日本では、8月10日の午前3時頃)に、DARPAからこのセミファイナルに出場する36チームと、ファイナル、セミファイナルの開催場所がロスアンゼルスの東北東100Km程度に位置するVictorvilleの旧George空軍基地と発表された。

会場となるVictorville(左)ファイナルの1等賞金は$2M、2位は$1M、3には$0.5Mと豪華賞金(右)。(出典:DARPA)

なお、この場所は、現在でも軍の訓練場として使用されており、一般人は立ち入ることができないが、出場チームの関係者が現地に立ち入れば、そのチームは失格と発表された。