"バリスタ"とはコーヒーを抽出する人のこと。そう、いつものカフェでカフェラテを淹れてくれるあの人がバリスタなのである。そんなバリスタが世界各国から集まり、技術や知識を競う大会が「ワールドバリスタチャンピオンシップ」(以下、WBC)である。2000年から毎年行われており、これまでの開催地はヨーロッパ諸国やアメリカのみだったが、「WBC2007」は日本での開催。初めてヨーロッパやアメリカ域外で行われた大会で、日本にとっては記念すべき大会といえるだろう。

日本情緒漂うエントランスでは、各国応援団が記念写真を撮る風景も

WBCの開催の前には、各国で国代表を決める大会が行われており、日本では「ジャパン バリスタ チャンピオンシップ」(以下、JBC)として2007年3月に実施された。日本全国から集まった135人のバリスタの頂点に立ったのは、兵庫・神戸のカフェ「カフェラ大丸神戸店」勤務の宮前みゆき氏。同時にWBC出場権も勝ち取った。日本にとって、女性がWBCに出場するのは初めてのこと。さらにはWBCの開催国ということもあって、これまで以上に注目度の高い大会となった。

決勝進出の期待がかかる日本代表、宮前みゆきバリスタ

WBCでの各選手の持ち時間は45分。内訳は準備15分、競技15分、片付け15分となっている。15分間の競技では、エスプレッソ、カプチーノ、シグニチャー・ビバレッジの3種類をつくる。シグニチャー・ビバレッジとは自由課題のドリンクで、選手が自らの個性を最も発揮できるドリンクとなっている(ただしアルコールの使用は不可)。試飲する審査員が4人いることから、ドリンクをそれぞれ4杯つくるのがルールだ。15分の制限時間をオーバーしても競技を続けることはできるが、超過時間に応じたペナルティーが科せられる。また16分を超えると失格になる。審査は味の面だけではなく、作業場(エスプレッソマシンを中心とした競技エリア)が整理整頓されているか、タオル(各競技者が用意)などの衛生面に問題はないか、スムーズで無駄のない動きをしているかなどの項目にも及ぶ。

競技中の風景より。エスプレッソの淹れているのはエストニアの選手

カプチーノの制作風景。写真はメキシコの選手

シグニチャー・ビバレッジをつくるシンガポールの選手

まずは45カ国48人が参加する予選大会が行われ、6人の決勝進出者を選出。その後決勝大会が行われるわけだが、決勝で披露する内容は予選と同様。シグニチャー・ビバレッジも同じとなる。

このようにして審査内容を説明していくと、随分と堅苦しい雰囲気のように思われるかもしれない。しかし実際のところは、少々異なる。もちろん真剣勝負の場ではあるが、私は競技風景を見ていて「ステージ上には各競技者の"カフェ"があるんだな」という風に感じた。というのも、試飲する審査員の前には作品を並べるテーブルが用意されており、このテーブルセッティングは準備時間の15分間で競技者自身が自由に行うことができる。各競技者が自分好みのテーブルコーディネートをし、そこに審査員を招く、といったイメージだろうか。お客をもてなす感覚で競技をしているように感じられる。

さて、いよいよ大会のレポートに入っていくが、まずは予選での印象的なシーンを紹介しながら、その後に6人の選手が進出した決勝大会の様子を解説していくとしよう。