【レポート】

Hot Chips 19 - IntelがPenrynの電源管理技術を発表

 

8月19日~21日(米国時間)の3日間、プロセッサに関する国際学会「Hot Chips 19」が開催された。本稿では、21日の午後のモバイルCPUのセッションでIntelのVarghese George氏が次期CPU「Penryn」(開発コード)の電源管理技術について発表を行った。

「Penryn」の電源管理技術について発表するIntelのVarghese George氏

8月19日~21日(米国時間)の3日間、プロセッサに関する国際学会「Hot Chips 19」が開催された。本稿では、21日の午後のモバイルCPUのセッションでIntelのVarghese George氏が次期CPU「Penryn」(開発コード)について発表を行った。

Penryn自体は、今年4月に中国の北京で開催されたIDF(Intel Developer Forum) Beijing 2007などで発表されており、45nmプロセスで製造され、新たにSSE4の47命令を追加し、Radix-16 DividerやSuper Shuffle Engineなどを搭載するCPUである。

これらの半導体技術や性能向上に関する機構に関しては既に発表されているということもあり、簡単に触れた程度だった。今回の発表の主題は、Deep Power Down Technology(DPD)とEnhanced Dynamic Acceleration Technology(EDAT)とのことだったが、DPDの説明に使われたスライドはIDF Beijing 2007と同じもので、新味に欠ける内容だった。

ここでDPDとEDATのおさらいをしておくと、DPDはCPUコアがアイドルの場合には、アーキテクチャ状態(各種レジスタなど)を専用のメモリに書き出し、キャッシュの内容はメインメモリに書き出して、CPUの電源をオフにするという技術である。コア電源を完全にオフにするので、コアの電源電圧を下げクロックを停止するC4状態に比べて、リーク電流を減らせるというメリットがある。

一方のEDATは、デュアルコアの一方のコアがアイドルの場合、他方のコアの電力が増えても、両方の合計はMaxを超えないということを利用して、ビジーなコアの電源電圧を上げてオーバクロックすることにより性能を上げるという手法である。ただし、一般的なオーバクロックは劣化の加速や誤動作などのリスクについては個人が責任を負うことになるが、こちらはIntelが動作を保証している。

今回の発表において、DPDに関して唯一の新しい情報は、DPDの適用の有無での平均消費電力の違いを示す図が加えられたことである。それによると、Mobile Mark 2005を実行した場合の平均消費電力は、DPDを有効にすることにより27~44%程度低下するという。ここで、平均消費電力が44%低減したチップはリーク電流の大きいものだった。44%低減するといっても、DPDがなく、リーク電流の小さいチップよりも消費電力は大きいので、低減率が大きいからといって喜んではいられない。

面白いのは、このグラフを見ると、MeromとDPDのないPenrynの平均消費電力はほぼ同じであり、こられはリーク電流が最小のチップと最大のチップでは3倍近く平均消費電力が異なる。この3倍という値は、スピードグレード分けを行う前の全体の分布と考えられるので、特定のクロックスピードの製品の中では、これほどのばらつきはないとしても、平均消費電力はチップによってかなり当たり外れがあることが見て取れる。

そして、PenrynにDPDを適用すると、この比率は2倍程度に縮まっている。3倍から2倍に縮まったことで改善と評価するのか、それともまだ2倍もあると考えるかは、読者の判断にお任せする。

EDATに関しては、多少ではあるがデータが追加された。割り込み頻度が低い状態では、SPECint2000では約7%、SPECfp2000では約5%の性能向上がみられたと発表された。またインタラプトが多い状態でも、これらの値は1%低下する程度である。これに関しても、高々7%程度の性能向上で大したことはないという評価もあり得るし、チップ面積の増大はほぼゼロで5~7%の性能向上は歓迎するという評価もあり得る。

IDF Beijing 2007の発表で触れられなかった新しい省電力機構は、サーバ用のCC3というステートの追加である。デュアルコアCPUでは、L1キャッシュミスが起こると、そのアドレスの最新状態のデータがないかどうかを他のコアのキャッシュに問い合わせる(スヌープする)必要がある。この検索のために、CPUの消費電力の30%が費やされているという。

CC3ステートでは、L1キャッシュの内容を両コア共通のL2キャッシュに書き戻し、他コアからのL1キャッシュのスヌープを不要としている。CPUコアの利用率が60%以下の状態では、Webサーバなどの用途では10~16%の電力削減が得られるという図が示された。



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