ソニーの、ワンセグ内蔵ポータブルDVDプレーヤー「DVP-FX860DT」は、9月1日に発売予定の新製品です。今回、発売前に試用する機会があったので、どのような感じなのか、軽くレポートします。

DVP-FX860DTは、8V型の液晶パネルを搭載したワンセグチューナー内蔵型のポータブルDVDプレーヤーです。AC、車のシガーソケット、専用充電池の3種類の電源を使用可能で、充電池の場合、ワンセグ放送も、DVDも最大で6時間試聴することが可能です。DVD、ワンセグだけでなく、MP3形式の音声データやJPEG形式の画像なども再生可能です。

DVP-FX860DT

DVP-FX860DTで見るDVD放送は

DVP-FX860DTは、ポータブルDVDプレーヤーとは言え、800×480のWVGAタイプの液晶パネルを搭載しています。そのため、DVD Videoの映像を、間引くことなく表示することが可能です。また、サイズも8V型と、一般的な製品よりは大型です。本来ならば、映画などのコンテンツを見てみるとよいのでしょうが、残念ながら筆者はあまり映画には詳しくありません。というわけで、KRAFTWERKのライブアルバム「minimum・maximum」をかけてみます。

今回お借りしたのは、発売前の製品なので、取扱説明書などのドキュメントは付いていませんでした。DVP-FX860DTはモバイルノートPCのような形をしていますが、ノートPCで言えば、キーボードがある部分、その部分を開けてDVDを入れるようになっています(これは、さすがにマニュアルを見なくてもわかる)。ところが、DVDを入れても再生されません。ローディングすら行っていないようです。リモコンのメニューボタンを押しても、DVDのメニューは表示されません。その間、ずっとワンセグ放送の映像が表示されています。あれこれ探していると…ありました。DVP-FX860DTでは、「DVD/CD」「USB」「TV」の切り替えを本体左側にあるスライドスイッチで行うようになっていました。

さて、筆者は普段、DVDやテレビの映像を20V型のハイビジョン液晶テレビで見ているのですが、DVP-FX860DTの映像はそれと比べてもくっきりしています。DVD Videoの映像は、もともとSDです。ハイビジョンテレビでは、スケーリング処理を行って、1366×768といった画素数のパネルに表示しています。それはそれで映像に破綻を来さないように処理を行っているのでしょうが、それでも、1:1で表示できるパネルのほうが、くっきりと見えても不思議ではありません。もちろん、サイズが原因ということも考えられます。1388×768画素のパネルを搭載しているテレビでは、画素の数は1049008です。一方、DVP-FX860DTは800×480なので384000で、画素の数は約2.73倍の差ということになります。ところが、20V型と8V型とを比較すると、パネルの面積では6.25倍の差があります。つまり、DVP-FX860DTでは20V型のハイビジョンテレビの約0.43倍の画素サイズということで、緻密な映像に見えるのかもしれません。いずれにせよ、デスクトップに置いて、至近距離でDVD Videoを見るのにはなかなか面白いモデルだと思えました。

ふたを開けると、ドライブが

ここで「DVD/CD」「USB」「TV」のモードを切り替える

サイズがサイズだけに、迫力という面ではしかたのない部分もあるが、予想以上に緻密な映像

ワンセグ放送は、さすがにこのサイズだと荒く感じる

ワンセグというと、携帯電話のイメージが強いですが、DVP-FX860DTは、そういった常に持ち歩く機器というよりも、もう少しサイズの大きい機器です。もちろん持って歩けないというわけではありません。サイズ的には、モバイルタイプのノートPCに近い感じです。DVP-FX860DTには、連続6時間の視聴が可能なバッテリーも搭載されています。しかし、日常的にこれを持ち歩いて、と言う人はあまりいないのでは無いでしょうか。ワンセグ放送を見るというだけなら、もっと手軽な選択肢がいくつも存在します。

やはり、リビングに置いてあるのとは別の、サブのテレビとして、インドアで使用する、あるいは、カー電源アダプターも付属しているので、車内というのが、メインの使い方なのではないでしょうか。

さて、気になる受信性能ですが、筆者の住んでいる環境は、川崎市の北の方で、マンションの3階です。室内の電波状況は、はっきりいってよくありません。DVP-FX860DTでは、チャンネルによっては映らない、というケースもありました。ただし、場所によっては映る場合もあり、また、パネルの角度によって映る/映らないといったケースもありました(本当に電波が弱い場所なのです)。こういう場合、アナログ放送だと、ノイズが乗ってひどいことになるのですが、ワンセグ放送では、映るか映らないかのどちらかしかありません。

また、テレビを受信中にリモコンの「TOP MENU」ボタンを長押しすると、写真のような画面が表示されます。これは、現在のDVP-FX860DTの状態を表示しているものだと思われます。

DVD Videoではその緻密さが光ったDVP-FX860DTの映像ですが、ワンセグ放送になると状況が少し違ってきます。ワンセグ放送はせいぜいQVGA程度の解像度しかありません。そのため、携帯電話などの小さい画面で見ている分には問題ないのですが、8V型という大画面(!)になると、さすがにもやっとした絵になってしまいます(これはDVP-FX860DTの問題ではなく、ワンセグの仕様上、しかたのないところです)。ワンセグ放送を見るときは、DVD Videoを見るときよりも、少し距離を離したほうがよいでしょう。

画面は時計回りに180°回転する

リモコンの「TOP MENU」ボタンを長押しすると表示される画面

シンプルにまとめられたリモコン