【レポート】

ニコン「D3」「D300」発表会 - 海外記者が大挙、大型CMOSなどパーツ写真も

ニコンは、フルサイズFXフォーマットを採用したプロ機「D3」、DXフォーマットのフラッグシップ機「D300」、および交換レンズの発表会を開催した。会場は、多くの海外メディアや報道陣で埋め尽くされた。

社長も自負するニコンの自信作

発表会の冒頭、挨拶に立ったのはニコン社長、苅谷道郎氏。苅谷氏が社長に就任して2年になるが、発表会に現れたのは今回が初めて。そのことからもニコンが今回の発表会にいかに力を入れているかが伺える。

苅谷社長はその挨拶で、「当社は7月25日に創立90周年を迎えました。これを機に次の10年間、すなわち創立100周年までを視野に入れた新ビジョンを制定しています。キーワードは"期待を超えて、期待に応える"。その言葉には新しい価値をお客様の期待以上を実現し、新しい価値を提供していくというニコンの決意が込められています。今日、世界に向けて発表させていただくD3とD300は、必ずや写真を愛する全ての方々の"期待を超えて、期待に応える"ことができる商品と確信しています」と自信を見せた。

また、「今回発表したD3、D300は、1959年のニコンF、1999年のD1と同様に、新たな時代を切り開くデジタル一眼レフカメラの最高峰」とし、「ニコンは2年連続で過去最高の売上高を記録したが、これを3期連続で更新できるよう大きな期待を込めている」とも語った。

ニコン社長苅谷道郎氏。発表会に出るのは就任後初だという

右から、苅谷社長、映像カンパニープレジデントの木村眞琴氏、映像カンパニー副プレジデントの後藤哲朗氏、マーケティング本部長の岡本恭幸氏

D3とD300の発表には普段からニコンのカメラを愛用している2006年ミスユニバース2位の知花くららさんも駆けつけた

司会のクリス・ペプラー氏(右)と千野志麻アナウンサー(左)

発表されたのは、FXフォーマットのプロ機D3とDXフォーマットのフラッグシップ機D300

海外メディアも多く、発表された製品の期待度の高さがわかる

ひとつでも強力な「EXPEED」

続いて壇上に上がったのは映像カンパニープレジデントの木村眞琴氏。営業事業として、ニコンが銀塩からデジタルへ比較的上手く転換できた理由は、1982年ごろから"将来はデジタルの時代が来る"と確信し、デジタル技術の開発を進めていためだという。60年に渡るカメラ技術、世界最先端の光学技術、20年以上のデジタル技術をベースに、信頼のニコンブランドを作り上げてきたとのこと。

今後のデジタル一眼レフカメラの事業は、エントリー層からプロ機までの「フルラインアップ戦略」、一眼レフに欠かすことのできない「交換レンズの拡大・強化」、そして写真を撮った後の楽しみとしての「ソリューションの提供」の3本柱を軸に展開し、近いうちにはインターネットでのソリューション提供を発表したいとも述べた。

製品の説明は映像カンパニー副プレジデントの後藤哲朗氏が行った。D3・D300に採用されたCMOSセンサーは、D2XのCMOSと、D2HのLBCAST(エルビーキャスト)の良いところを集め、さらに発展させものとのこと。また、ニコン独自の画像処理コンセプトとして「EXPEED(エクスピード)」を提案。「単に画像処理エンジンに名前を付けただけではありません。画像処理にあるべきキレイな色とはどういうものなのか?を突き詰め、その結果を結集させたものであり、基板の細かい部品にまで神経を張り巡らせて結実したものです」と力を込めて語った。さらに「他社では画像処理エンジンを2つ搭載しているところもありますが、当社では1つだけで素晴らしい階調を再現しております」と、会場の笑いを誘った。

製品説明後には、長年ニコン一眼レフのトップモデル(一桁機)のデザインを手がけ、D3のデザインも手がけたジュージアーロ氏のインタビュービデオが流された。そこでジュージアーロ氏は、「D3のデザインコンセプトは"彫刻"である。技術的に優れ、高品質であるニコンのカメラに参画できて光栄だ」と語った。

D1からのセンサーフォーマットの進化の推移

FD3の撮像感度は世界初の常用ISO 6400を可能にし、設定によってはISO 25600相当まで上げられる

同時に発表された交換レンズの手ブレ補正は「補正効果の4段とは最低値で最高値ではありません」と、VRの高い手ブレ補正効果をアピールした

D3のデザインを手がけたジュージアーロ氏のインタビュービデオ

デジタル一眼レフ、シェア1位をめぐる闘い

インタビュー・トークでは、マーケティング本部長岡本恭幸氏に司会の千野アナウンサーが、かなり突っ込んだ質問を投げかける場面も見られた。インタビューを一部抜粋して紹介しよう。敬称略。

千野 2007年上半期、デジタル一眼レフカメラ市場のシェア1位、おめでとうございます。最近のニコンさんは調子がいいんじゃないですか?

岡本 一部報道ではニコンは万年2位といわれていましたが、昨年のクリスマスから順調にシェアを伸ばしておりまして、この4週間では50%程度までシェアを伸ばしております。表(表1)にA社と書いてありますが、本当はC社ですね(笑)。この結果は一部ではD40シリーズのおかげだと言われていますが、D80もかなり売り上げに貢献しているんですよ(表2)。

千野 ニコンがデジタル一眼レフカメラNo.1なのはわかりましたが、私のように素人にはコンパクトデジタルカメラのほうが手に取りやすいのですが、コンパクトデジタルカメラの状況はどうなんですか?

岡本 痛いところを突かれましたね。ニコンはコンパクトデジタルカメラが弱いと思われていますが……、その通りでございます(苦笑)。しかしコンパクトデジタルカメラ全体のシェアは3月から伸びてきてまして(表3)、先ほど調べたところ12.75%で、ほぼソニーさんと差がないところまで来ました。機種別ではCOOLPIX S500はこの4週間は2位に位置しています(表4)。

千野 今回D3、D300と画期的な商品が発表されましたが、今後はどんな販売戦略を予定していますか?

岡本 今まで、ニコンは宣伝が弱い面がありましたが、これからは宣伝にも力を入れたいと思っています。

千野 先ほどからC社と発言が出ていますが、ズバリ、ライバルはどこですか?(笑)

岡本 ズバリ、C社でございます(笑)。目標シェアの40%以上を達成しましたが、キヤノンさんも40%を超えているので、最終的にはキヤノンさんとの戦いになるのではないのかと考えています。一眼レフユーザーというのは、銀塩カメラ時代に使っていたメーカーから他社に移ることは少ないですね。キヤノンさんとは昔から勝ったり負けたりが長年続いています。ですから、これからもキヤノンさんとの戦いが続いていくのではないかと思っています。

以上のように、真剣な中にも笑いの混じったトークが続いていた。広告戦略で力を入れていくという点で、話題になった木村拓哉氏のCMについても話があった。木村拓哉氏の起用には岡本氏の強い意向があったという。「現在の一眼レフの主要マーケットは40~50代の男性ですが、将来を考えると若年層や女性層を視野にいれなくてはいけません。また、実際の購入は奥さんや娘さんが決めていることが多いんですね。やはり女性層を開拓するには妥協のない本格志向を持った木村拓哉さんが一番だということになりました」。また、海外の広告戦略については、欧米ではそれぞれの地域に密着した宣伝を展開し、アジアではタレントを起用した宣伝を展開していくという。韓国では歌手のBi(Rain)氏、中国では王力宏氏を起用。両氏のテレビCMも公開されたが、どちらのバージョンも最後には決めセリフ「やっぱいいわ、ニコン」が入っている。

最後の質疑応答では、今までフルサイズを出さなかったのはなぜか? という質問には、「DXフィーマットを標準としてラインナップを整理して参りました。FXフォーマット(35mm判サイズ)も同時進行で研究していましたが、これは非常に要求グレードが高いものなので、品質基準を確実に達成できるまで時間がかかり、今回やっと自信を持ってお届けできることになりました」(後藤氏)とのこと。

撮像素子について、今後はCOMSが中心になるのかという質問については、「CMOSのテクノロジーはもちろん追究していきますが、CMOSだけを追究するわけではありません。CMOS、CCDなどデバイスごとに特長がありますし、それぞれのカメラに必要な機能もあります。機種とニーズにあわせて画像センサーを選択する予定です」(後藤氏)。

他社から2000万画素を超えたモデルが登場しているのに、フルサイズで1200万画素という選択の理由については、「D3は高速性と高精細を兼ね備えたモデルです。高精細だけを追ったカメラとは違います。D3は幅広いニーズをカバーするためのカメラですから。もちろんより高精細なモデルや、他のニーズに向けたFXフォーマットモデルも考えていますので、今後もいっそう期待して下さい」(後藤氏)と締めくくった。

表1:最近4週間のデジタル一眼レフカメラシェアの推移

表2:国内4~6月デジタル一眼レフカメラの販売ヒット商品リスト

表3:国内コンパクトデジタルカメラシェアの推移

表4:コンパクトデジタルカメラの販売ヒットリスト

マーケティング本部長岡本恭幸氏の千野アナウンサーによりインタビュー・トークが行われた

それぞれの国でイメージキャラクターを務める歌手のBi(Rain)氏と王力宏氏の紹介

ニコンの"本気"を感じる作り

以下では、製品紹介ページで紹介できなかった、D3・D300のパーツ写真などを掲載している。大型のCMOSやしっかりしたボディなど、大変興味深い。

D3。装着したレンズは新しい14-24mm F2.8G

D3のスロットは、CFカードがダブルで入る構造

D3のバッテリー。従来のD2シリーズのバッテリーも使用可能

D3のコネクター端子部

FXフォーマットCOMSセンサー。かなり大きい

D3のセンサーユニット。この状態で搭載される

D3のメイン基板。中央にEXPEEDのチップが鎮座する

D3のシャッターユニット。約9コマ秒の高速連続撮影が可能

D3のマグネシウム合金ボディ

ジュージアーロ氏がデザインしたモック。頭頂部の凹みが特長。これでは雨水が溜る(?)ということでD3の形状になった

D300。装着レンズは18-200mmVR

D300のCFカードスロット部。従来どおり

D300のバッテリー。D200と同じEN-EL3eを使用

D300のコネクター端子部

D300のDXフォーマットCOMSセンサー

D300のセンサーユニット。フィルターを振動させゴミを振るい落とす

D300のメイン基板。チップにEXPEEDと書かれている

D300のマグネシウム合金ボディ。縦位置グリップもマグネシウム製

撮影・レポート:加藤真貴子(WINDY Co.)

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