このところコンパクトデジタルカメラで増えてきた顔認識機能。コンパクト機は記念撮影など人物を撮影することが多く、理にかなった機能ともいえる。顔認識機能は自動で人物の顔を判断し、そこにピントを合わせるのはもちろん、露出やホワイトバランス、フラッシュ調光、赤目補正など、顔に合わせて自動的に設定する。まだ新しい機能だが、非常に可能性は広いと考えられる。各メーカーでの違いを含め、この顔認識機能をチェックしてみた。

新しい技術の顔認識機能

記念写真のような人物撮影で、背景にピントが取られてしまったり逆光で顔が暗くなったりしてしまうと台無しである。これらの失敗を防ぐためにはフォーカスロックや露出補正という操作が必要になる。しかし、コンパクトカメラユーザーの7割がフルオート撮影をしているというデータがあり、多くはそういった操作をしていないようだ。人物の顔をカメラが自動で認識する「顔認識機能」は、そういったユーザーのニーズに応えた便利な機能である。

現在、顔認識以上に重要視される手ブレ補正機能の歴史は長く、世界初の手ブレ補正機能は1994年にニコンから発売された35mmフィルムコンパクトカメラ「ZOOM 700VR QD」に搭載されていた。顔認識機能はそれよりずいぶん新しいが、やはりニコンが世界初。2005年に発売された「COOLPIX 7900/7600/5900」に搭載された。その後、顔認識機能は一気に進み、各メーカーで次々と導入が進んだ。

今回は、キヤノン、ニコン、ペンタックス、オリンパス、ソニー、富士フイルム、カシオの7メーカーの顔認識機能を搭載したコンパクトタイプのデジタルカメラを集めた。先日パナソニックも同機能を搭載したが、今回のテストには間に合わなかった。また、富士フイルムも新しい「F50fd」で手ブレ補正を搭載したが、今回は現行モデルの「F40fd」を使用している。

キヤノン IXY DIGITAL 810IS
キヤノンの顔認識機能「フェイスキャッチテクノロジー」を搭載。ピント・露出に加え、ストロボ発光量の調整も可能。常時、数十人の顔を検出するが、検出枠は最大で9つまで。枠はシャッターボタンの半押しで表示される。再生時の「赤目補正機能」も搭載。2007年6月発売

ニコン COOLPIX S50
ニコンの顔認識機能「フェイスクリアー機能」を搭載。3~4名の顔を同時に検出する。ポートレートモードでは「標準」「明るめ」「ソフト」の3パターンが選択できる。撮影後にカメラ内で赤目を補正する「アドバンスト赤目軽減」機能、暗く写った被写体を自動で明るく補正する「D-ライティング」機能などを搭載する。2007年4月発売

ペンタックス Optio A30
顔認識機能にメーカー独自の名称はない。「ポートレートモード」「キッズモード」時に顔を検出する。自動追尾AFを搭載し、「キッズモード」ではシャッターボタンを半押しすると被写体に追従する。また「オートピクチャーモード」では、シャッターボタンを押すと被写体に最適なモードに切り替わる。2007年2月発売

オリンパス μ780
顔に合わせて露出制御を行う顔検出逆光補正機能を搭載。固有の名称は付けられていない。オリンパ初となる顔認識機能搭載モデルでもある。撮影中はピントと明るさがコントロールされた画像が液晶モニターに表示される。2007年4月発売。

富士フイルム FinePix F40fd
富士フイルムの顔検出機能「顔キレイナビ」を搭載。ピント・露出に加え、ストロボ発光も調節。最大10人の顔を検出。主要被写体の顔を緑色の枠で表示してピントを合わせ、その他の顔は白い枠で表示。すべての顔に合わせて明るさを最適化する。2007年2月発売。8月に発売される「F50fd」の顔キレイナビは、さらに進化しているという

ソニー Cyber-shot T100
ソニーの顔検出機能「顔キメ」を搭載。2007年春モデル全機種に、ソニーは初めて顔検出機能を搭載した。動いている顔でもピントを追従。露出、フラッシュ調光、赤目軽減機能も備える。最大8人まで検出可能。2007年3月発売

カシオ EXILIM ZOOM EX-Z1200
顔認識機能にメーカー独自の名称はない。自動追尾AFと顔認識を組み合わせ、フォーカスロック後でも人の顔にピントを合わせ続ける。認識モードは「スピード優先」と「人数優先」が用意され、最大認識数はスピード優先が5人、人数優先が10人まで。「ファミリー優先認識モード」はユニークな機能で、登録した顔を優先的に認識する。登録人数は最大6人。同人物で登録件数を増やすと認識精度が上がるという。2007年6月発売