【インタビュー】
『ファンシイダンス』、『シコふんじゃった。』などのコメディ映画で話題を集め、大ヒット映画『Shall we ダンス?』では日本アカデミー賞13部門独占受賞、全米での日本映画興行記録の更新、リチャード・ギア主演によるハリウッドリメイク版の製作など、大きな成功を収めた周防正行監督。その周防監督の11年ぶりの新作『それでもボクはやってない』のDVDが8月10日に発売される。
痴漢冤罪事件を題材とした本作では、事実を基に日本の裁判制度の問題点が浮き彫りにされる。これまでのコミカルな作風からは一転、社会派とも言える本作に込めた思いを、周防監督に語ってもらった。
11年ぶりの新作となった本作。どうしてここまで、製作に時間がかかったのだろうか。
「時間……かかりましたねえ(笑)。3年半は取材と準備だけに費やしました。今までは1年の取材でシナリオの形が見えていたけど、今回はなかなか上手くいかなかった。最初は痴漢冤罪の事だけ取材していたんですが、途中から裁判制度そのものが問題なんじゃないかと思い、他の色々な裁判を傍聴するようになって、最後は刑事訴訟法を読むレベルまで行ってしまったんです。台本を書き始めるまで丸2年かかりましたね」
撮影に入るまで、かなりの時間を必要とした『それでもボクはやってない』は、日本の裁判をテーマに据えた、かなりシリアスな作品だ。派手なエンターテイメント映画全盛の時代に、周防監督はこういう映画がヒットすると読んでいたのだろうか。
「思ってもいませんでした(笑)。でも、企画を出したらすんなり通った。東宝もここまで笑いのない真剣な映画を僕が作るとは、思ってなかったんじゃないのかな?」
社会派とも言える本作は、エンターテイメント作品としても受け入れられ、結果、興行収入11億円の大ヒットとなった。その要因を監督はこう分析する。
「親子愛や男女の恋愛を描いた作品ばかりの時代だからこそ、こういう映画が1本ぐらいあっても(笑)。前作が公開された11年前ならまず不可能な企画だし、最近の邦画バブルのおかげといえるかもしれませんね。日本映画を見に行くという習慣が、日本人に出来ているというのが大きいかな」
観客の反応もこれまでの周防作品とは、まったく違っていたようだ。 「上映後の質疑応答イベントを試写の段階から何度もやったんですが、「撮影の裏話で面白かったことは?」とか「あの俳優がどうこう」という話には一切ならずに、「なんで裁判官は~」とか劇中で描かれる裁判や法律に関する質問ばかりでした。映画の感想よりも、みんなが裁判や法律に対する自分の思いを語る。そういう反応が多いですね」
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