『BSファン倶楽部』は、NHK・BS2で放送中の番組である。その最新エピソード「スター・トレック ファン大集合」の収録が今月下旬、東京・渋谷のNHK放送センターで行われた。そこで我々は、その収録現場に潜入取材を敢行した。

「スター・トレック ファン大集合」は、ベテラン吹き替え俳優の矢島正明氏をゲストに迎え、熱心なファンとのやりとりを交えて、矢島正明氏が主人公・カーク船長を演じている『スター・トレック 宇宙大作戦』デジタル・リマスター版の魅力を伝える番組である。番組収録後には、我々から矢島正明氏に直接質問する機会も得た。

『スター・トレック 宇宙大作戦』デジタル・リマスター版は、『STAR TREK』(邦題『宇宙大作戦』)の最新バージョンで、昨年アメリカで『STAR TREK』誕生40周年を記念して放送され、日本国内では、今回のNHK・BS2での放送が初放送となる。デジタル・リマスター版といっても、単にデジタル技術により映像を鮮明にするといった処理を施すにとどまらず、特撮シーンが最新のCG映像に置き換えられている。

また、日本語吹き替え音声も日本初放送時の音声を極力使用し、この時点でカットされて吹き替え音声が存在しないシーンにも、オリジナル・キャストを可能な限り起用して追加録音するなど、往年の吹き替えファンにもうれしい配慮がなされている。ちなみに、『STAR TREK』は、1966年にアメリカ国内で放送が開始されたSFテレビドラマシリーズで、23世紀の宇宙を舞台に、地球をはじめとする惑星によって組織された惑星連邦・宇宙艦隊に所属する宇宙船エンタープライズ号の指揮官、カーク船長率いる乗組員たちの活躍を描いた物語である。これらのビデオソフト、LD、DVD、小説版は日本国内でも販売され、関連商品は数知れない。

なお、各番組の放送予定は、以下のとおり。

番組名 チャンネル 放送日時
『スター・トレック 宇宙大作戦』
デジタル・リマスター版
NHK・BS2 毎週土曜日深夜(日曜日午前)1時15分から2時5分
(再放送/毎週木曜日9時から9時50分)
『BSファン倶楽部』
「スター・トレック ファン大集合」
NHK・BS2 8月1日8時5分から8時15分
(再放送/同日23時50分から24時ほか)

番組収録現場に潜入すると、まずは、司会進行役の三遊亭きん歌さんと石山愛子さんの待つところへ、ゲストの矢島正明さんが登場。

オープニングの3ショット

司会進行役の三遊亭きん歌さん

同じく石山愛子さん

ゲストの矢島正明さん

きん歌さん「矢島さん、日常からこういった制服を着られているんですか?」
矢島さん「(笑)日常は着ないけど。40年近くカーク船長の声をやらせていただいていますけどね、この衣装着たのは初めてです」
石山さん「初めて?」
きん歌さん「この番組が初めて! 歴史的瞬間に立ち会ってますね、我々」

初めてこの制服に袖をとおす矢島さん。歴史的瞬間!

問題のスポックの耳

そう、この番組では、出演者全員がエンタープライズ号の乗組員の制服を身に着けているのだ。ちなみに、きん歌さんが着けているスポックの耳は、長時間着けていると締めつけられて痛くなってくるそうだ。

石山さん「では集っていただいたBSファンの皆さんを紹介しましょう!」
石山さんの声とともにファンの方(長井さん、細江さん、山下さん)が登場。
長井さん「今回は、NHKさんのほうでデジタルリマスター版をやっていただけるので、非常に楽しみにしています」
細江さん「僕はもう子供のから、カーク船長の大ファンで、すごい憧れの存在だったもんですから」
山下さん「今回こういうところに参加できてすごく嬉しいです」
とご挨拶。

勢ぞろいしたファンの皆さん

長井さんは、岐阜県からいらした方。ファン歴は20年。最初は、映画から入ったそうだ。ほとんどの『スター・トレック』シリーズ作品をご覧になったそうだが、『宇宙大作戦』だけは、40年前に作られた作品だけに、特撮や画像にやや納得できない点があったという。それだけに、今回、NHK・BS2でデジタル・リマスター版が放送されるのを非常に楽しみにしていらっしゃるとのこと。このように、『宇宙大作戦』の内容の良さは認めるものの、「特撮映像が古いのが気になってまともに観られない」というファンは意外に多い。しかし、今回のデジタル・リマスター版は、十分に満足のいくものであろう。

細江さんも岐阜県の方。ファン歴は、30年以上。小学生の頃から観ていて、グッズも学生時代から集め始め、その数はもはや数えきれないそうだ。なにしろ、部屋が3つほど埋まるくらいの分量なのだそうだ。実は、ここで皆が着ている制服やスポックの耳などのグッズも細江さんコレクションの一部なのだ。『宇宙大作戦』では、特に、カーク船長を演じられた矢島正明さんのファンで、多重音声になって、ウィリアム・シャトナーの原語を聴くことができるようになっても、矢島正明さんの声でないとしっくりこないとか。

山下さんは、愛知県から来られた。やはり、映画版から好きになったそうだが、もっぱら、主役の3人、カーク船長、ミスター・スポック、ドクター・マッコイのかけ合いを楽しんでいるという。この3人のやり取りは、古くからファンに、「トリオ漫才」と呼ばれ、親しまれてきた。『宇宙大作戦』の見所は、ほかに、人と人との会話、異なる文化をもった人々との交流といった、いろいろな角度から描かれた人間ドラマとしての物語だという。

長井さん

細江さん

山下さん

細江さんのコレクションの一つコミュニケーター。すなわち通信機。携帯電話の出現のはるか以前に、このようなデザインが考えられていたのだ

同じくフェイザーガン。早い話が光線銃だ

同じくトライコーダー。今のノートパソコンみたいなものか。劇中ではその名のとおり、計測・分析・記憶の3つの機能があることになっている

細江さんのコレクションを手にしたファンのお三方

さてここで、全員で『スター・トレック 宇宙大作戦』デジタル・リマスター版を、しばし観賞。そのご感想は……。

細江さん「CGでどうなるのかなぁって心配していたんですけど、これでしたら、昔のデザインのまま、そのままデジタル化されているものですから、安心しました」
矢島さん「僕は宇宙空間の広がりみたいなものが、すごく出たと思うんですけど」
長井さん「すごく星の動きなんかも綺麗ですしね」
山下さん「初めて見る人にとっては、リマスター版のほうがとっつきやすくなってるんじゃないですかね」

最新の映像を観賞する出演者の皆さん