苦戦気味で始まったドコモの2007年度 NTTドコモの2007年度は、減収減益で始まった。第1四半期(4月-6月)の営業収益は対前年同期比2.9%減の1兆1,829億円で、こちらは微減ではある。しかし、営業利益は同25.2%の減だ。通期業績予想に対する進捗率でいえば、営業収益は25%、営業利益は26.1%であり、これらの数値だけみれば、まさに1年の1/4である第1四半期の結果としては順調には見える。中村維夫社長は「大体、予想通り」と話す。もともと控えめな予想であったともいえる。

第1四半期の結果としては順調には見えるが、もともと控えめな予想であったともいえる

とはいえ、このところ同社は苦戦気味だ。今年度に入った4月から6月まで、純増シェアは実に3カ月連続で3位に甘んじている。しかも、5・6月はMNP(携帯電話のナンバーポータビリティ)でシェアを伸ばしたKDDIではなく、ソフトバンクモバイルが首位に立っている。そのKDDIが、初年度から基本料金を半額にする「誰でも割」を開始する。ドコモが27日に発表した「ファミ割MAX50」「ひとりでも割50」は、これにすぐさま反撃する策だ。当初の予定を変え、契約年数にかかわらず基本料金を一律半額にする。

NTTドコモの中村維夫社長

同社は、これらの割引による減収をおよそ400億円と見込んでいる。ただ、「最初から値下げの原資分として予備費は考えてある。KDDI(の値下げ)のことは想定外だったが、今回の当社の値下げの影響は年間の計画に入っている。最初から、このくらいの値下げ、と想定していた」(中村社長)としており、2007年度通期の営業利益7,800億円という見通しは変えていない。

この第1四半期の同社の累計純増シェアは17.6%だ。2005年度通期は48.4%、2006年度通期は30.0%で、徐々に下がっている。だが、中村社長は「純増シェアの意味は年々薄れている。その順位で企業の力が示されるというが、本当に重要なのは解約数だ。どの程度顧客を囲い込めているのかということであり、経営への影響も(解約数のほうが)重要になる」と自信を示す。2005年度の加入者数シェアでは同社は2005年度は55.7%、2006年度は54.4%であり、たしかにここまでは、純増シェアの影響は軽微といえるかもしれない。

3大事業者の純増シェア推移

同社の解約率は2005年度通期は0.77%、2006年度通期は0.78%だった。2006年度の第3四半期(10-12月期)だけで見ると0.93%、同第4四半期(2007年1-3月期)は0.97%で、これはMNPのあおりを受けたものと思われるが、2007年度第1四半期は0.85%に下がった。「MNPの影響は徐々に収まっていく」(同)とみている。

NTTドコモの解約率推移

同社が、KDDIやソフトバンクの"侵食"への反撃策としてまず打ち出したのが、1契約で2つの電話番号とメールアドレスが持てるサービス「2in1」だ。