2007年6月28日に電波法に関連した省令などが改正され、従来は約20MHz幅だった無線LANの電波帯域において、隣り合う通信帯域を2つ同時に利用することで通信を高速化する「チャネル・ボンディング」技術が利用可能となった。つまり、現在標準化が進められている次世代の無線LAN通信方式、IEEE802.11nを利用すれば、データが2ストリームの場合は理論上300Mbpsのデータ通信ができるようになったのだ。

そこで、このチャネル・ボンディング技術を採用したIEEE802.11n Draft2.0/a/b/g対応無線LANルータ、NECアクセステクニカ「AtermWR8400N」と無線LANカード「WL300NC」をセットにした「PA-WR8400N/NC」をレビューしてみた。

チャネル・ボンディングに対応して高速化した無線LANルータ、NECアクセステクニカ「AtermWR8400N」

無線LANカード「WL300NC」

これまではNECアクセステクニカのIEEE802.11n draft対応無線ルータでは、Atheros Communicationsの無線LANソリューション「XSPAN」を採用することで有線LANに迫る無線LANスループットをたたき出した「AtermWR8200N」が最上位モデルとなっていた。また、送信3×受信3の複数アンテナを利用して、通信の安定性と高スループットを実現する「MIMO」も取り入れられている。

今回レビューを行うAtermWR8400Nは、モデル名からもわかる通り、AtermWR8200Nの上位に位置する事実上のフラッグシップモデルだ。AtermWR8200Nとの違いは、あらたに5GHz帯でのIEEE802.11n draftでの通信が可能になったことや、屋外での使用が可能な5.6GHz帯(W56)のIEEE802.11aへの対応が挙げられる。さらに、前述の通りチャネル・ボンディング技術(AtermWR8400Nでは「デュアルチャネルモード」と呼ばれている)を搭載し、同社テストによると実効無線LANスループットが80Mbpsから90Mbpsに向上しているのも特徴のひとつだ。