無線ネットワーク関連のソフトウェア開発を行うスカイリー・ネットワークスは、ワイヤレスジャパン2007でZigBee標準規格に沿って開発されたプロトコルスタックを含むソフトウェア開発キットを出展した。ZigBeeを使ったメッシュネットワークの開発、プロトタイプ構築に利用できる。

同社のブースでは、ZigBeeネットワークを制御する"親機"に相当する「コーディネーター」としてPLAYSTATION 3を利用して電化製品のオン/オフを行うデモンストレーションや、複数の温度センサーをメッシュネットワークで結んだビル温度監視システムなどが展示された。ハードウェアには、NECエレクトロニクスの8bitマイコン「78K0」とUBECのIEEE802.15.4コントローラー「uz2400」を搭載した小型ボード「78K0 UZ Stick」(アプリケーション製)が利用されている。

PLAYSTATION 3をコーディネータとして利用したデモンストレーション。本体の手前にあるスイッチを操作すると、ブースの別の場所にあるファンが回り画面にも反映される

ビル温度監視システムでは、左右または上下に隣接した部屋の間でしか直接の無線通信が行えない環境を想定。各部屋に設置されたセンサーは、隣の部屋から反対側の部屋へとバケツリレー式にデータを転送していくことで管理センターに室温を伝えていく。ある部屋との通信がダウンすると、その部屋を迂回する通信ルートを自動的に再設定してデータの転送が止まるのを防ぐ。

上下左右に隣接する部屋のノードとしか通信できない環境を想定しながら、一番上の管理センターに温度を伝えるデモ。ある部屋の通信がダウンしても、その部屋を迂回するルートが自動的に再設定される(右写真)

スカイリー・ネットワークスはアドホックネットワークを構築するためのミドルウェア「DECENTRA」を主力製品としており、無線LANやセンサー用の微弱無線などを使用したアドホック通信技術を開発してきたが、そこで得たノウハウをZigBee向けに応用した。ZigBeeプロトコルスタックはZigBeeのハードウェアメーカーや海外ベンダーなどからも提供されているが、処理速度やメモリ容量などの条件が厳しいハードウェアでも動作が可能なことや、"純国産"のソフトウェアでありカスタマイズ提供やサポート面で柔軟な対応が可能な点が同社製品の強みであるという。現在は60端末程度のZigBeeネットワークで稼働実績があり、近いうちに300~500端末程度のネットワークを実現したいとしている。