今年も米国フロリダ州オーランドにて、半導体ベンダの大手である米Freescale Semiconductorのプライベートショーである「Freescale Technology Forum Americas 2007」(以下、FTF)が開催された。

開催期間は6月25~28日と例年通り4日間で、約200のテクニカルトラックが開催された。最大で同時に24セッションが行われることもあり、参加する側からするとマラソンでもやっているような気になってくるのも毎度のことだ(写真1)。

このFTFでのトピックはいくつかあるのだが、まずは2日目に行われた基調講演の内容についてレポートしよう。

写真1 Conference Mapの「半分」 - FTFでは、JW MarriottとRits-Carltonの2つの会場が用意された。これはJW Marriottで開催された分のみ。この隣にあるRits-Carltonでは、合計23もの部屋が用意された。もっとも、これら全部を一度に使うことはなかったが。

今年の3つのテーマ

FTFにおいては毎年、いわゆる基調講演らしいものとしては同社のCEO兼ChairmanであるMichel Mayer氏(写真2)の講演だけである。そのMayer氏の基調講演だが、まず最初に昨年のFTF直後に発表されたLBO(leveraged buyout)に関して触れ(写真3)、「会社を固める時期にはPrivate Companyの方が都合が良い」と説明した。ただPrivate Companyになったからといって資金を溜め込むわけではなく、「今年度もR&Dに12億ドル(約1400億円)程度を投資する」という。このあたりをいちいち株主に諮ったり、「四半期ごとに業績を気にしなくて良くなった」というあたりはジョークの口ぶりではあったものの、実は本音だったのかもしれない。

写真2 基調講演を行うFreescale SemiconductorのCEO兼ChairmanであるMichel Mayer氏

また、今年6月にCTO兼上席副社長に就任したLisa Su氏を紹介し(写真4)、今後の製品の開発の指揮をSu氏が取ることが改めて紹介された。

さらに同社の製造工程についても触れ、2005年に24PPM、2006年には5PPMだった不良率が2007年には遂に0PPM、つまり "不良なし" を達成したことも明らかにした(写真5)。また、製造工程を見直すことで、製造日数を従来の32日よりも12日も少ない20日を達成し、こうした製造工程の見直しがさらにクライアントへの価値を生み出すと述べた。

写真3 昨年9月にLBOに関する発表があり、最終的に9月15日にLBOの成立が発表された

写真4 IBMでR&D部門の副社長を務めていたSu氏。会場では最前列に座っていたが、挨拶などは特になかった。

写真5 同社の「i.MX31」を300万個、「MPC5567」を100万個製造し、どちらも0 defectを達成した

ここまでは前置きである。続く同氏の基調講演は、大きく3つのテーマに沿って行われた。具体的には、

  • Green Everything
  • Aging Operation
  • NetFX

である。昨年の基調講演は、同社の製品ラインナップの各カテゴリ(「Automotive」「Network」「Wireless」「Industry」)に沿って個別に説明が行われるというスタイルだった。それに対し、今年はこれら3つのテーマに沿って説明を行う過程で関係のある製品ラインナップが紹介されるという、一風変わったスタイルが取られた。