DSとの相性

いたストはDSというプラットフォームに非常に合っていると感じた。上画面でメインを、下では全体の戦況が把握できる簡略マップとプレイヤーそれぞれの資産状況が表示されるのだが、1画面に情報が詰め込まれていないのでスッキリしたフィールドで遊べるのだ。また、今回から所持している現金と総資産額に増減があると数字が明滅(増えると緑、減ると赤)するようになった。これは実にすばらしい進化だ。株の配当や分け前など一桁台の微増の場合はどうも「もらえた!」という実感がなかった。ゲームの進行スピードを「超はやい」に設定していると誰にいくら配当があったかを示す表が一瞬で消えてしまうため尚更だ。しかし今回は明確な視覚効果で資産の増減を把握できる。たとえ3Gでも「せしめてやった!」というイイ気分に浸れるのだ。言うまでもなく金を取られて数字が赤くなった時のショックもまた大きい。絶対取り返してやる、とコブシを固くする瞬間だ。

取る者、取られる者

DSで良かったと思える点はこれだけではない。「いたスト」は1回のプレイがどうしても長くなるため、据え置き機の場合はテレビに齧り付きになる。熱中してはっと気付くと既にスーパーが閉まっており、ご飯にありつけなかったという悲しい経験も一度ではない。しかしDSであれば外に持ち出し、移動時などのちょっとした時間でちょこちょこ進めることができる。中断するときは蓋をパタンと閉じるだけ。カートリッジならではの短いロード時間でサクサク進めることができるのも快適。ゲーム内で地雷を踏んだり、狙っていた店を買われた時などは別にして、本当にストレスを感じずに遊べるのだ。ゲーム初心者が感じるハードルは劇的に下がったと言ってよいだろう。

音楽もハズレなし

ゲーム内容共々、音楽は重要だと思う。堂々と白状するが植松伸夫ファンクラブ会員である私は、マリオに関してもあのちょっぴりマヌケな愛嬌のあるサウンドが大好きで『スーパーマリオ大百科』というサントラを持っている(特に『スーパーマリオワールド』のマップ選択画面の曲が大好物だ)。いたストSPでは、PS2をつけっぱなしにして音楽を延々流しながら別の作業をしていたこともあったほどであるので今作でも音楽面への期待は大きかった。結果から先に述べると大満足である。

最下位が何か言ってますよ

DQのステージ、マリオのステージ、それぞれにおいてレベルアップ音が違うなどの細かい心配りは言うまでもなく、ほどよいアレンジが加えられたBGMはゲームを盛り上げる効果抜群だ。サントラの発売を熱望する。

ドラクエとマリオの競演は成功だったのか

ドラクエとマリオというゲームに馴染みの薄い人でも知っている大作同士のコラボレーションだが、正直、多少の違和感はあるのではないかと思っていた。双方とも個性が確立しすぎているからだ。しかしこのあたりのバランスの取り方は「さすが」の一言。2作のキャラクタは浮きも沈みもせず、互いに盛立て合って「いたスト」というフィールドの中で見事に共存していた。今度のマリオで最初に踏むのがクリボーではなくスライムになってもおかしくないほどしっくり来ていた。こういった試みは今後も是非続けていって欲しい。ただ、登場キャラクターはもう少し多い方が良かった。ムーンブルクがいるなら、やはりローレシアの王子も欲しいし、フローラの炸裂するイヤミ節もあればあったでネタになる。もし次回作があるならば、リンクやカービィ、スターフォックスたちとも遊んでみたいものだ。

ピーチと

フンドシ姿のハッサンを同じゲーム内で見る日が来るとは……

いつでも、何回でも、どのようにでも楽しめる超アタリソフト

ツアーモードが終わっても、楽しみは無限大だ。フリープレイでは一緒にプレイするメンバーを任意で選べるし、目標金額も変えられる。竜王、クッパ、ワルイージでMAX999,999Gの死闘を演じてみるのもいいだろう(これを書き終わったら本当にやります)。また、今回は付き合ってくれる人がいなかったために出来なかった通信もかなり楽しそうだ。見知らぬ人とのいただき合戦、考えただけで心が踊る。運が大きく作用する「いたスト」に同じ展開は決してあり得ない。プレイする度に新しい発見があり、ゲームメイクの楽しさもプレイの数だけ存在する。発売から約2週間。じっくりプレイして導きだした結論は、「楽しすぎて困る」ということだ。仕事は手につかないし、寝る時間も惜しんでやり込んだため、お肌の調子も下がり気味。しかしそれだけ熱中させてくれるタイトルだという証明にはなったのではないかと思う。このレビューの筆を置いたら、早速さきほどの意地悪3人組とのMAX対決に雪崩れ込むつもりだ。

現在発売中。価格は5,040円

(C)2007 ARMOR PROJECT/SQUARE ENIX All Rights Reserved. (C)KOICHI SUGIYAMA DRAGON QUEST characters:(C)ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX SUPER MARIO characters:(C)2007 NINTENDO CHARACTER ILLUSTRATION:SHIRO AMANO