米国で6月29日に発売された米Apple初の携帯電話「iPhone」。Appleの巧妙なマーケティング戦略により、今年1月の正式発表前から憶測が絶えず、発表後も話題を集め続けた。それはユーザーのインターネット上の活動にも表れており、今年、米国ユーザーはインターネットでiPhoneに関する情報を求めて、約686万の検索を行ったという。調査会社の米comScoreが6月29日に発表したiPhoneに関する検索動向データによる。

Appleの動向にユーザーの検索も連動

comScoreは今回、1月1日から6月24日まで「iPhone」をキーワードにした検索動向をまとめている。対象は米国ユーザーのみ。それによると、この期間、iPhoneに関連して合計で686万件の検索があった。

検索クエリ数の増減は、Appleの動きと連動している。AppleのCEO、Steve Jobs氏自らが1月9日に「Macworld Conference & Expo」でiPhoneを正式に発表した週(1月8日~1月14日)は、iPhoneに関する情報を求めて110万件の検索が行われ、最初のピークを作っている。その後1月21日には50万件を下回るところに下がり、2月から5月までは毎週8万~20万件の検索が行われている。

次のピークは6月にくる。Appleは6月はじめにiPhoneの広告キャンペーンを開始しており、これを受けてのものだ。6月4日~6月10日の週の検索数は70万4000件で、次の週には72万7000件に増えた。そして発売直前となる6月18日~6月24日には120万件に達し、ピークを作っている。このように、Appleの一挙一動にユーザーの関心が呼応していることがわかる。調査期間の週間平均検索数は27万4,000件だった。これは、単独の製品としては非常に高いレベルという。

comScoreでは参考として、米Motorolaの人気携帯電話「RAZR」と比較しているが、RAZRの検索数は20万台ラインで上下している。RAZRの曲線と比べるとiPhoneの曲線のほうがカーブが激しく、ユーザーの関心の高さを示しているといえる。

「iPhoneローンチは歴史上最大規模の製品ローンチになりそうだ」とするcomScoreの検索ソリューション担当上級副社長James Lamberti氏は、この結果について、「明らかに消費者全体がiPhoneに関心を持っていることの表れといえる」とコメントしている。

iPhone関連の検索動向
出典: ComScore

価格と発売日に関心

comScoreでは、「iPhone」とともに用いられた検索キーワードとその数値も公開している。それによると、期間中、「iPhone」単独での検索は372万2,000件あり、54.3%と大多数を占めた。「Apple」「iPhone」の組み合わせは63万800件(9.3%)あった。

「iPhone」「Price」の組み合わせは3.2%にあたる21万7,000件あり、その次には「iPhone」「Release Date」が8万7,000件と続く。「Apple」「iPhone」「Price」が5万7,000件あったことからも、米国ユーザーは価格と発売日に高い関心を持っていたといえる。なお、Appleは、iPhoneの価格を1月のiPhone発表時に、発売日を6月はじめに開始した広告で明らかにしている。

訪問先はApple、Engadgetが人気

iPhoneに関連した検索は、高いクリックスルー数をもたらしている。期間中、検索結果をクリックしてWebサイトにジャンプしたクリックスルー回数は合計で787万3,000件。訪問先として最も多かったのはAppleのWebサイト(apple.com)で、236万3,000件のクリックスルーをもたらした。これは、全体の30%に相当する。

次は、携帯電話などのガジェット系を取り扱うニュースサイトEngadget (engadget.com)で28万8,000件(3.7%)。その次にもニュースサイトGizmodo (gizmodo.com)が27万2,000件(3.2%)で続いている。また、新しく立ち上がったiPhone専門情報サイトのEverything iPhone (everythingiphone.com)も人気を集めたようだ。

iPhoneと独占契約した米AT&Tには合計で15万1,000件のクリックスルーがあり、旧名の「Cingular」には12万4,000件あった。

comScoreによると、消費者家電分野で製品に関連した検索が行われた場合、検索後90日以内のコンバージョンレート(Webページの訪問者のうち、そのサイトで商品を購入したり申し込んだりする人の割合)は平均25%という。新製品の場合、この比率は下がるというが、もしAppleが同レベルのコンバージョンレートを達成できた場合、約10億ドルの売上げをもたらす可能性があるとみている。