金融庁はこのほど、同庁が運営する有価証券報告書開示システム「EDINET」(Electronic Disclosure for Investors' NETwork)に、ビジネスレポーティング言語として世界的に普及しつつあるXBRL言語を2008年4月から導入することを明らかにした。企業から提出された財務諸表がXBRL化されることで、「EDINET」からダウンロードする財務諸表の加工が容易になる。財務諸表を業務上加工する必要がある投資家やアナリストにとってメリットがあるほか、提出企業にとっても、XMLをベースとしたXBRL言語と自社の既存システムとの連携がしやすくなるなどの利点があるという。

XBRL(eXtensible Business Reporting Language)は、XMLから派生したコンピュータ言語で、推進団体として「XBRL International」がある。財務諸表などを作成する言語として証券市場や銀行監督の世界で事実上の世界標準になりつつあり、XBRLで財務諸表を提出する米証券取引委員会(SEC)の「Voluntary Filing Program」には約30社が参加している。金融庁総務企画局企業開示課課長補佐の長谷川修氏によれば、日本でもXBRLの導入に積極的な企業や官庁が多く、すでに国税庁や日本銀行、東京証券取引所なども導入しているといい、「XBRL言語の導入では日本は世界の中でも進んでいる」と話している。

「日本はXBRLの先進国」と話す金融庁企業開示課課長補佐の長谷川修氏

同庁では、2006年8月からEDINETの最適化計画を遂行してきたが、その基本案の中で、「開示される財務諸表をより高度なかたちで使ってもらう」(長谷川氏)ことを目的に、XBRL言語の導入が明示された。現行のEDINETシステムでは、開示された財務諸表を基に書類などを作成しようとしても、ダウンロードして印刷したものを再度入力する必要があるなど、手間がかかることが難点だった。XBRL言語による財務諸表提出を上場企業など有価証券報告書提出会社等、約8000社を対象に義務付けることで、投資家やアナリストなどのEDINET利用者にとって利便性が格段に向上する。

また、XBRL言語がXMLを基に開発された言語であることから、「XMLをベースとする既存のシステムを持っている企業などにとっては、財務諸表の作成と既存システムの連携を図ることも可能になる」(長谷川氏)という。こうした連携により、人手を介さず正確、迅速に財務諸表作成を実現できる可能性があるという。

金融庁では、XBRL言語による財務諸表提出を体験してもらうパイロット・プログラムを7~8月に実施する予定で、7月27日まで参加申し込みを受け付けている。パイロット・プログラム参加についての資料は金融庁のWebサイトに詳しい