Memory Update

まさかSiSの取材に行ってMemory Updateを書く羽目になるとは思わなかったのだが、あまりに面白い話が出てきたのでまとめてご紹介したい。

SiSは昨年からMemory Moduleのビジネスに参入した話はレポートした通りだが、今年はそこから先にすすんで、DDRのみならずDDR2/DDR3や、遂にFB-DIMMまで販売することになった。Photo18にはFB-DIMMが記載されていないが、ブースには堂々とDDR2-677のFB-DIMM(Photo19)や、DDR2-1066 Unbuffered DIMM(Photo20)に加え、DDR3-1333 Unbuffered DIMM(Photo21)までが並んでいる始末。ただこのあたりはYang氏はあまり詳しくない、ということでMemory担当の方に話をお聞きした。

Photo18:赤字はまだ未出荷の製品。つまり、結構膨大なラインナップの大半はすでに量産出荷中というわけだ。

Photo19:パッケージは非常にスタンダード。

Photo20:2.2Vに電圧を上げて動くDDR2-1066。

Photo21:DDR3-1333 1GB品。一応動作サンプルではあるそうだが。

「そもそも何でFB-DIMMを」というのが最初の質問。SiSの場合チップセットとMemoryを一緒に売ることで、Validationの手間を軽減するというのがウリだった筈なのだが、FB-DIMM対応のチップセットは今のところSiSにはないし、ロードマップにも乗ってない。これに対する答えは「通常のDIMMモジュールは売ってもそれほど儲けがない。なので、より利益を載せやすいFB-DIMMも売ることにした」という、率直というか、何をいまさら的な答えが返ってきたのはまぁご愛嬌として。

面白いのはここからである。AMBに何を使っているか、という回答に対して帰ってきたのはIDTとの事。確かに値段はちょっと高いが、デザインリファレンスが一番しっかりしており、台湾においてシェアの7割はIDTだろうとの事。次がIntelで、値段はちょっと安いがデザインリファレンスにちょっと問題があるとの話。これがシェア25%位。その次がNECで、デザインリファレンスにも問題があり、価格もちょっと高く、これが5%程度ではないかとの事。Infineonは「使ってるの聞いたことがない」、Inphiに至っては「そんなメーカー聞いたこともない」というお返事。今は発熱はどのメーカーも一段落しているそうで、問題は価格とか安定性といったところなのだそうだ。

もうひとつ面白かったのはDDR3。今までSiSといえば、チップだけメモリベンダーから購入し(DDR世代はPSCだった)、その先は自前で行うことで低コスト化を図っていたが、DDR3世代に関してはメモリチップベンダーのものを使っているとの事。理由は、DDR3のJEDECの標準ガーバーは結局使い物にならないからだという。結局各メモリベンダーが自社のチップにあわせて、本当に微妙な調整を行ったガーバーでないとちゃんと動かないらしい。結局ガーバーは各メモリベンダー毎に微妙に異なっており、安定して動かすためには各メモリベンダーのガーバーを個別に用意する必要があるのだとか。ちなみにDDR3世代はElpidaのものを使っているが、現時点のガーバーはRev 0.7か0.8のもので、1.0になるのは年末だろうという話であった。

今回もさまざまなベンダーがDDR3のモジュールを出展していたが、「動くモジュールは半分未満だろう」とはさるチップセットベンダーの関係者。Top 5ベンダーに続くメモリベンダーもDDR3への移行を考えているが、事実上70nm以下のプロセスでないとまともに量産できないそうで、これが実現するのは2008年からになる。今しばらくは、Top 5のベンダーのみがメモリチップを供給する構図が続くようだ。