【レポート】

エコシステムの拡大で従来型ソフトウェア企業に挑むSalesforce.com

1 米Salesforce.comが初の開発者会議を開催

    Junya Suzuki  [2007/05/23]

    米Salesforce.comは5月21日(現地時間)、同社初の開発者会議となる「Salesforce Developer Conference」を米カリフォルニア州サンタクララにて開催した。カスタマイズ製の高さを売り物にした同社のSaaSアプリケーションの「Salesforce」だが、最近ではアプリケーション配布プラットフォームの「AppExchange」や開発言語「Apex」などを次々とリリースし、SaaSベースのアプリケーション開発環境の提供だけでなく、サードパーティら他のベンダを巻き込んだ1つの巨大なエコシステムを築きつつある。今回、同社初となる開発者会議の開催は、こうした流れを裏付けるものとなるだろう。

    メインフレームからPC、PCからオンデマンドの時代へ

    メインフレームからPC、PCからオンデマンドの時代へ。MicrosoftやSAPのようにインストールベースのソフトウェアに依存する企業を、Salesforce.comでは「従来型ソフトウェアベンダ」と呼んでいる

    企業の業務システムについて、1980年代までをメインフレームの時代とすれば、それ以降の世代はクライアント/サーバによるPCの時代だといえるだろう。一方でインターネット技術をベースに"オンデマンド"なアプリケーションを構築する試みが進んでおり、新しい時代の幕開けを予感させる流れが進んでいる。SAPやOracle、Microsoftといったベンダをクライアント/サーバ世代のソフトウェア企業だとすれば、GoogleやSalesforce.comはオンデマンド世代の新興ソフトウェア企業だといえる。

    SaaSのようなオンデマンド型アプリケーションは、従来型ソフトウェアと比較してどこにメリットがあるのだろうか。

    米Salesforce.com会長兼CEOのMarc Benioff氏。1999年にサービスインしたSalesforce.comは、当初はサンフランシスコ市内にあった同氏の自宅近くにある小さな事務所でビジネスを開始した

    カンファレンスのキーノートに登壇した米Salesforce.com会長兼CEOのMarc Benioff氏は、マルチテナント方式による「スケールメリット」「スケーラビリティ」「アップグレードの容易さとベンダによる最新技術投入のスピード」、そしてサブスクリプション方式による「初期導入費用の安さ」「ユーザー単位のわかりやすいライセンス体系」にある点を強調する。こうしたメリットに加え、時代の追い風によるところもあり、中小企業ばかりでなく、大手企業も含めて同社は順調に業績を伸ばし続けている。

    「オンデマンド型アプリケーションは驚異的なスピードで売上を伸ばしているが、ソフトウェア市場全体から見れば、まだ25%程度の売上に過ぎない。市場自体がまだ初動段階にあり、今後もまだまだ開拓の余地が残っていると考えている」とBenioff氏は説明する。同氏が現在注目しているのは、開発者コミュニティの存在だ。近年立ち上がったばかりのSalesforceアプリケーション開発環境コミュニティは、ソフトウェアの売上を上回るペースで膨張を続けている。こうしたコミュニティの存在が、Salesforceを盛り上げる原動力につながると同氏は考えているようだ。

    SaaSのようなオンデマンド型アプリケーションのメリットは、保守性やスケールメリット、ライセンス体系のシンプルさや初期導入のハードルの低さにある

    急速に成長を遂げるオンデマンド型アプリケーションの市場。だがソフトウェア市場全体でみれば、まだ4分の1程度の水準である

    Salesforce.comの売上は、正比例のグラフを描く形で順調に伸びて行っている

    注目すべきは、売上の上昇カーブを上回る形で開発者コミュニティが拡大していることが挙げられる

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