【レポート】

サンフランシスコの熱い4日間が終わって - 2007年のJavaOneを振り返る

    杉山貴章  [2007/05/23]

    JavaOne参加者の1日は、朝7時、会場となっているThe Moscone Centerに入ったところからスタートする。会場一画の朝食エリアには多くの参加者が集まっており、相席になった者どうしでセッションの感想を述べ合ったり、活発な議論が始まったりする。それからジェネラルセッション、テクニカルセッションと続き、BOF(Birds OF Feather)まで参加すれば、ホテルに帰るのは23時過ぎだ。ときには会場で見知らぬ参加者と意気投合してBarに繰り出す、なんてこともある。世界中からJavaのために集まってきたGeekたちに囲まれて刺激的な4日間を送ることができる、それがJavaOneの魅力と言える。

    モスコーンでの一日は、"JavaOne Today"を眺めながらパンとフルーツとコーヒーの朝食をとるところから始まる。朝食は無料サービス

    会場内のあちこちにソファーやクッションが置かれており、備え付けのゲームも楽しめる

    そんな2007年のJavaOneも11日(現地時間)、Geekの熱気を残しながら盛況のうちに閉幕した。一抹の寂しさを漂わせてサンフランシスコを後にする参加者たちを眺めながら、本稿では筆者の見た今年のJavaOneを簡単に総括してみたいと思う。

    JavaOne 2007最大の話題 - JavaFX

    今年のJavaOneで最も大きなインパクトを与えた発表は何だったかと言えば、それは「JavaFX」に間違いないだろう。初日のジェネラルセッションでRich Green氏がJavaFXを発表するや否や、世界中の開発者がその詳細を知りたがり、仕様や実装を入手して試してみたという人が続出した。JavaOneでもJavaFXに関連しそうなセッションに多くの人が集まり、プレス向けのラウンドテーブルでも必ずJavaFX関連の質問が出された。

    いささかSunの狙い通りになりすぎた気がしないでもないが、リッチアプリケーションへの注目が高まっている中での発表であり、それだけに大きな期待を抱かせたのだろう。

    布石はあった。昨年10月にSunはRIA言語としてJava F3を発表、今年4月にはJava SEを携帯電話上で動作させる技術を持つSavaJe Technologiesの買収を発表している。リッチアプリケーションを手軽に記述させ、それをPCに限らないあらゆる機器の上で動かせるにしたいという狙いは明らかであり、それがJavaFXという形で具体化された。ただし競合技術としてすでにAdobe ApolloやMicrosoft Silverlightなどが先行していることから、SunはJavaベースであるという利点を活かしてうまく舵取りしていく必要があるだろう。

    まちがいなく今年最大のキーワードだったJavaFX

    デスクトップへの回帰

    JavaFXにも関連するが、今年は久しぶりにデスクトップJavaに焦点が当たったJavaOneだったような印象を受けた。ここ数年はどちらかと言えばエンタープライズ系の話題が多く、ビジネスに直接結び付きにくいデスクトップ系は少し元気がなかった。しかし今年はJavaFXをはじめとして、Java SE 7やOpenJDKといったデスクトップJavaの話題が前面に出てきており、逆にエンタープライズ系で新しい話題はそれほど多くなかった。これは昨年Java EE 5がリリースされたことで今はちょうど移行期に当たる上、ベースプラットフォームであるJava SEに大幅な変更が加えられる可能性があるという事情が影響しているのかもしれない。

    一方で、Java SEのスクリプト言語サポートなどに関連してJRubyの話題が盛り上がるなどといった側面もあった。Javaプラットフォームは現在急速に「Javaではない言語」への対応"を進めており、「Unified Platform」を目指して進化しようとしている。

    オープンソースとしてのJava

    Javaがオープンソースになったことに対する反応はどうだっただろうか。採用されたライセンスがGPLだったことに対する反発の声も多少はあったが、開発者は概ね好意的に捉えていたようである。コミュニティも自然とこれを受け入れており、自分たちが主体となってJavaを発展させていくという意思が強く見られた。

    今回オープンソース版のJDKであるOpenJDKがリリースされたのをきっかけに、Simon Phipps氏は近いうちにJavaプラットフォームの100%オープンソース化を実現すると語っており、また、その他のJava関連製品についても可能な限りオープンソースにすると明言している。昨年のJavaOne開催時にはSunはまだJavaのオープンソース化に躊躇しているように見られたが、今年は対照的に何か"ふっ切れた"ように感じられた。

    Jonathan Schwartz氏は「OpenJDKをより活用できるのは個人であり、OpenJDKにより貢献できるのも個人である」と言い、企業ではなく個人の開発者がJavaに与える影響の大きさを強調している。JavaOneはその個人の開発者が多数参加するイベントであり、イノベーションの源流となるパワーを肌で感じることができた。

    サンフランシスコでしか得られない魅力

    さて、実際のところJavaOneに参加しなければ得られないというような情報はほとない。新しい発表は各メディアや参加者によって即座にWeb上に掲載されるし、General Sessionの様子はWebcastで配信されている。テクニカルセッションのプレゼンテーション資料ですら、2週間後にはJavaOneのオフィシャルサイトからダウンロードできるようになる。

    開発者にとってのJavaOneに参加することの最大の魅力は、世界中のJavaに関わる人々と直接交流できるという点だ。テクニカルセッションに出れば、各プロジェクトの中心メンバーに会うこともできる。Q&Aの時間はたっぷり取られているが、それでもセッション終了後には直接スピーカーに疑問をぶつけようとステージ前に人だかりを作っている。John Gage氏は毎回必ず「Don't be shy」と言うが、むしろshyになっている場合ではないという雰囲気だ。

    これからJavaテクノロジーをリードしていくのはコミュニティであり、それはつまりひとりひとりの開発者だということだ。2007年のJavaOneは終了したが、開発者の方々は「Don't be shy」の精神でコミュニティにも参加してみてほしい。

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