NOR Flash & PCM

NANDとくれば次はNORとPCMである。こちらについても簡単にレポートしておきたい。まずNOR Flashである。Intelはメーカー全体としてはNAND Flashへの傾倒を深めており、Micronと合弁でIM Flash Technologiesを設立。昨年7月には50nmプロセスを使った4Gbit品のサンプリングを開始するといった報道もあるほどだが、需要がある限りNOR Flashについても供給してゆくようで、こちらについてのレポートもあった(Photo37)。現状90nmと65nmでのStrataFlashの量産が行われており、45nmへの移行も順調であるとしている。ただ将来的には更なる微細化よりも、後述するPCMへの移行を念頭に置いているようだ。PCMはNANDとNORの両方の代替を目指しているようだが、最初に移行するのは(容量の少ない)NOR Flashという事だろう。

Photo37:MLCとはMulti Level Cellの略で、1セルに2bit以上の情報を格納する技術。これを使った製品がIntel StrataFlashである。

そのNOR Flash、現状でのNAND Flashに対するアドバンテージは速度であり、今年中にはDDRで666MB/secの製品が登場するとしている。流石にこの速度となると従来のI/Fでは間に合わないので、Burst ModeやらPipelineやら盛りだくさんである。しかも何かONFIとよく似た機能ばかり並んでいるので、Grimsrud氏に「NOR Flashの標準化はしないの?」と聞いたところ、「可能性が全く無いわけではないが…」というお答え。高速転送が必要な特定用途向けには使われているが、そうした分野は携帯を除くとごく僅か。最近はむしろ大容量化が重要視されてNAND Flashに移りつつあるので、標準化をしたところでメリットは少ない、ということらしい。むしろ独自機能を追加することで特定顧客をがっちり掴もうということなのか、Autenticated Operation(Photo39)なんて機能が追加されていたりする。

Photo38:333MHzでx16構成という意味。もっともこの先どこまで高速化出来るかはちょっと微妙。

Photo39:盗難時の情報漏えいなどを防ぐ目的で内容を暗号化するという動きは活発である。AO Flashはこれに必要な暗号化モジュールをFlash側に設けることで、低コストに暗号化を実現できるという仕組みだ。

製品ラインナップとしては1.8Vと3.3V、16Mbit~1Gbitまでが現状用意されており、携帯機器などには当面これで十分とみなしているようだ。ただ一般論として、特にMLC構造のNOR Flashは書き換え寿命がSLC(Single Level Cell:1セルあたり1bit)に比べて1桁程度落ちる(~数万回オーダー)という問題があり、このあたりを今後どう解決して行くのか、それともそこには手をつけずに早めにPCMに移行するのか、というあたりは今回は明らかにされなかった。

Photo40:主要な製品群。下の凡例と表の色が一部あっていない(ピンク色が青色になっている)のはご愛嬌?