『時かけ』はゲリラだった!?


ブログの人 : 映画って作品ごとに何もかもが違うはずですよね。映画作りはすべて、"例外"にあたって、それをいかに上手く処理するか、っということに尽きると思うんですけど、ベルトコンベアー式に毎月新しい映画が公開されるから、宣伝に限っては決まった型に嵌めていきやすくなるんですよ、どうしても。それを何とかしたいなと思ったらゲリラしかなかったんです(笑)。

岡田 : この作品って基本的にゲリラだもんね。

齋藤 : ゲリラ、遊撃隊、草の根活動の3つがキーワード(笑)。

岡田 : それが、『時かけ』だから合っていただけなの。これが200~300館でかけようっていう映画だったら絶対ありえない。やっぱりよき小品、佳作を作るっていうことを、最初からブレずに最後まで持ってこられたっていうのが、私は勝因だと思っています。映画って、作っているとすごくいろんな誘惑が出てくるんですよ。この作品でいちばん有名なのは、タイトルですからね。作品を見ていなくても『時をかける少女』のアニメーション映画やりますって言ったときに、主題歌を歌いたい、歌わせたい、商売したいってどれだけ多くの人が興味を持つかっていったら……。

――大きなビジネスにしようと思えばいくらでもできるでしょうね。

岡田 : そう。だから、主題歌をどうしようか、という段になった時にこの映画のエンドタイトルでこの曲が流れていいのかっていうことを考えながら、候補に挙がってきた曲を1曲1曲、死ぬほど検証しました。

齋藤 : でも、そこでまたひとつ、幸せなことが起こったわけですよ。それが、奥華子さんとの出会いだったんですね。