ところで今回のIDFではチップセットの側はあまり取り上げられなかった。既にCeBITで事実上のお披露目が終わってるから、という事情もあるのだろうし、新しい情報があまり無いから、ということかもしれないが、それでもテクニカルセッションの中でこのあたりを詳細に説明していたので、ここで触れておきたいと思う。

2007年第3四半期には、Intel 3シリーズと呼ばれる7つのチップセットが予定されている(Photo23)。そのIntel 3シリーズの特徴をまとめたのがこちら(Photo24)。面白いのはIntel Turbo Memoryがちゃんとラインナップされていることで、逆に言えばRobsonというコード名で知られたNAND FlashベースのIntel Turbo Memoryは、Mini PCIのみならずPCI Expressスロットのモデルも登場するということだろう。

Photo23:G31がバリュー向けの、PCI Expressスロットなしのタイプ。G33/G35/P35がホーム向け、Q33/Q35がビジネス向けとなり、ハイエンドがX38ということになる。

Photo24:"*"がついているのは特定のチップセットのみということになる。逆に言えばポートマルチプライヤ経由でのe-SATAは全モデルサポートということだ。ところでIntel Clear Video EnhancementはP35/X38では未サポートだと思うのだが?

さて、そのX38とG33/P35の構成を示したのがPhoto25、26である。ハイエンドのX38はPCI Express 2.0 x16を2レーンもつほか、DMIで繋がるICH9の先にUSBが12ポート、更にPCI Expressを合計x6相当持ち、このうちx1がGbEコントローラ、もう一つはIntel Turbo Memory専用となっているようだ。

Photo25:そろそろDMIでは帯域が足りなくなりつつある。ちなみに次世代のDMIについての話は意外なところで出てきたのだが、それは別記事で。

Photo26:基本的な構造は当然ながら全くおなじ。

ところでこの図でものすごく気になるのはメモリ。以前からX38がDDR3-800/1066/1333に対応という話は出ていたが、逆にDDR2の対応は無いという話であった。ところがPhoto25にははっきり"DDR2 or DDR3"とあり、ちょっと動向が気になる。やはりIntelが予想するほどにはDDR3のRampが早くなく、むしろLow LatencyなDDR2-800を使ったほうが高速という話になって、DDR2のサポートを追加したのか、それともたんなる図版のTypoなのか。非常に微妙な部分である。

もう一つ気になるのは、「で、G35は?」という部分。G35に搭載予定だったIntel GMA X3100が非常に困難な状況に置かれ、一度開発がキャンセルされたという話はあったのだが、そのためかG35のブロック図が省かれてなぜかP35/G33のみが示されているのは、ちょっと象徴的である。この状況を補強するのが、Intelから発売されるデスクトップ向けマザーボード一覧(Photo27)である。よく見るとG35搭載製品が無い。恐らくはG35の仕切りなおしに伴い、製品出荷が遅れるために現時点ではアナウンスできないだけだと思う(というか、思いたい)が、まさかG35が最終的にキャンセルなんてことにならなければいいのだが。

Photo27:型番の先頭のDはデスクトップ向け、次の3文字がチップセットの型番、最後の2つが製品の詳細ということになっており、DG35という製品が無い以上、IntelはG35搭載製品を出すつもりが無い? という事に。

最後にSkulltrailについてちょっと触れておこう。既に報じられたとおり、エンスージャスト向けにIntelはDual Quadcore Platformを提供する。これがXeonではなく、Core 2 Extremeブランド、というところが新しいのであって、なかなか刺激的な事になりそうだ。さて、このプラットフォームは一体なんだ? という話に対し、Stephen L. Smith氏は「Stoakleyプラットフォームベースだ」(Photo29)と明言した。

Photo28:基調講演では「Dual QuadCoreで4つのGraphicsを使えるプラットフォーム」とだけ紹介された。

Photo29:Xeon DP向けの新しいチップセットであるSeaburgをベースとしたものがSkullTrailとなる。PCIeが4本という話だから、各レーンはPCI Express x8相当となるのだろう。

ただこうなると、こちらの図からも判るとおり、メモリシステムがFB-DIMMになってしまう。これに関してPat Gelsinger氏は「Skulltrailはエンスージャスト向けのきわめて限られた数に向けたプラットフォームなので、(Unbufferedではなく)FB-DIMMを使う形で提供する」としており、実際にはかなり高くつくプラットフォームということになりそうだ。もっともFB-DIMMを使ったデスクトップは既にXeonを搭載したAppleのMac Proという前例があるから、これはこれでアリなのかもしれないが。