楽天、TBS株の追加取得と三木谷社長らの社外取締役選任を提案

楽天は、東京放送(以下TBS)を持分法適用会社とすることを目的に、「20%を若干超える程度のTBS普通株式を追加取得する」意向を同社に通告したことを明らかにするとともに、三木谷浩史会長兼社長など2人の社外取締役選任を提案している。楽天は現在、TBS株の19.86%を保有している。また、TBSの「放送事業の公共性担保・補完のため」に、同社が放送法に基づき設置している番組審議会に加えて、何らかの独立的な第三者機関の設置も含めた方策について、今後、株主としてさまざまな提言をしていきたいとの考えを示している。これに対して、TBSは、買収防衛対策の発動をするかどうかを検討するもようだ。

2005年10月~2007年2月

楽天は2005年10月、TBSの発行済み株式の15.46%にあたる2,938万株を880億円で取得、同社に共同持株会社化を通じた経営統合を申し入れた。共同で持株会社を設立し、楽天、TBS両グループがその傘下に並立するという形式を考えていた。テレビとインターネットを融合させ、強力なメディアグループを形成したい、としていた。

TBSは、唐突に株式を取得されたことに反発、経営統合には消極的な意思を示し、楽天がTOBなど敵対的買収に向かう可能性も浮上した。しかしその後、2005年11月に楽天はTBSに対する経営統合への申し入れを一旦取り下げ、まず業務提携に向け協議を開始し、同社が保有するTBS株の比率を下げる意向を表明した。TBSはこの提案を受け入れ、両者間に和解が成立した。この問題は1カ月半に渡って膠着状態が続いたが、とりあえず決着した。

当時、両者は覚書を締結した。主な内容は次の通り。

TBSと楽天は「放送とインターネットの連携」を実現するため、「業務提携委員会」を発足させ協議する。楽天は「共同持株会社設立による経営統合」の提案については一旦取り下げる。協議期間中、楽天は保有するTBSの持株比率を10%未満まで低下させる。これを超える保有TBS株式については、みずほ信託銀行に信託する。楽天のTBSに対する最終的な出資比率等については両社で協議する。協議期間については2006年3月末日までとし、延長できるものとする。

楽天は当初、TBS株の15.46%を取得し、その後さらに買い増して、19.09%を保有することとなったが、同社との経営統合の交渉を進展させるため、信託という手段で持ち株比率を半減させ、同社株式の議決権行使の権限を、一定期間ながら凍結させた。TBS側からみれば、これで経営についての楽天の発言力は抑えられることになる。楽天はTBSに安心感を与え、交渉しやすい状況をつくろうとした。

しかし、三木谷会長は2007年2月、2006年度(2006年1-12月期)の連結決算を発表した際、同行に信託していたTBS株式の一部を信託しない意向を表明、すべて自社で保有することになるとみられていた。ただ、TBSとの提携協議がどのような状況となるのかについては不透明であった。