【レポート】

最優秀作はやはり『時かけ』 - 第6回東京アニメアワード表彰式開催、功労賞も

    野口智弘  [2007/03/28]

    3月22日、東京ビッグサイト国際会議場において「第6回東京アニメアワード表彰式」と「第3回功労賞顕彰式」が行われた。両イベントとも「東京国際アニメフェア2007」の一環として執り行われている。

    ノミネート部門・公募部門の受賞者一同

    第3回功労賞の受賞者一同

    「東京アニメアワード」は過去1年間のアニメーション作品から優秀作品をする「ノミネート部門」と全世界から一般公募を行う「公募部門」のふたつに分かれており、ノミネート部門は457作品の中から選出、公募部門は217作品(海外16カ国63作品を含む)の応募より選出された。「功労賞」は一昨年、昨年と行われた「特別功労賞」を本年度より改称したもので、アニメーション産業の地位向上に寄与した人物を顕彰するもの。

    ノミネート部門において、2005年12月1日から2006年11月30日までの間に国内で放送・上映・販売された商業作品のうち最も優れた作品に贈られる「アニメーション オブ ザ イヤー」は『時をかける少女』が受賞。個人部門でも監督賞・原作賞・脚本賞・美術賞・キャラクターデザイン賞と、合計6部門を受賞し、昨年末からアニメーション関係の賞を軒並み受賞している『時かけ』の支持の高さをここでも見せつけた。そのほかには『涼宮ハルヒの憂鬱』がテレビ部門の優秀作品賞と声優賞の2部門で、『パプリカ』が劇場映画部門の優秀作品賞と音楽賞の2部門で受賞するなどしている。

    『時をかける少女』関係者を代表して登壇した製作の井上信一郎氏は「絵コンテを見た筒井先生に『原作とまったく違うのが……いい』と一瞬、血圧が上がりましたけども、ご快諾をいただきまして、42年前の原作を大胆にアレンジした現代向きのすばらしい作品になったと思います」と述べた

    個人部門でも多数の賞を受賞した『時をかける少女』制作チーム。原作賞の筒井康隆氏は「42年前に書いた作品で原作賞をもらうとは夢にも思っていませんでした。『時をかける少女』は本当によく稼ぐ孝行娘でしてね。今回作品賞に選ばれた『パプリカ』ちゃんもがんばってますけど、もうちょっと稼いでほしい」と軽妙なコメントを披露し、会場を沸かせていた

    声優賞を受賞した平野綾さんはビデオメッセージで参加。「昨年から本格的に声優業を始めまして『涼宮ハルヒの憂鬱』をはじめとする、たくさんのいい役に巡り合うことができました。今年もがんばりますので応援よろしくお願いします!」と元気あふれるコメントを披露

    公募部門のグランプリはカナダ人クリエイターのハウィ・シア(Howie Shia)氏による『Flutter』が受賞。モノトーンの世界を駆け抜けるキャラクターの躍動感が高く評価されている。グランプリ以外に目を移すと山路直樹氏、児玉徹郎氏、藤原智樹氏といったCG作品に関する賞を多数受賞している実力派クリエイターが入賞しており、全体を通して見ても「公募=アマチュア」といったイメージからは一線を画した完成度の高い作品が顔を揃えている。また、今回はスウェーデン、ウクライナ、チェコ、ガーナ、南アフリカ共和国、メキシコといった国からも参加があり、東京アニメアワードが国際的コンペティションとして着実に定着しつつあることもうかがわせた。

    公募部門グランプリを受賞した『Flutter』。作者のハウィ・シア氏は「世界のアニメファンは日本のアニメ制作の技術発展だけでなく、日本のアニメファンからもインスピレーションをいただいています。これからも引き続きカナダからがんばりたいと思います」と喜びを語った

    アニメーション文化の発展に功績を残した人物を顕彰する功労賞には、12人のクリエイターとともに「ドラえもん(旧)声優チーム」という1組が選ばれている。今回気になる点としては、受賞者のうち約半数の8名がすでに鬼籍に入っており、そのうち3名が2006年に死去しているということ。没後の再評価がなされるに越したことはないが、せめて生前にこうした機会があれば、と思わずにはいられない。選考委員のコメントにも「第一線で活躍中の方に賞を差し上げるのは、どこか引退勧告をしているようで、ご本人に悪いのではないかと気にしてしまったり。(略)悠長に考えていたら、思いもかけぬ訃報に接することとなったり……」とあり、功労賞選考の難しさがうかがえる。

    功労賞を受賞したドラえもん(旧)声優チーム。左より大山のぶ代さん、小原乃梨子さん、野村道子さん、肝付兼太さん、たてかべ和也さん。大山さんは「楽しくいいお仕事をさせていただいた上に、終わってからも素敵な表彰状をいただけて幸せです」と述べ、「僕もそう思います!」とドラえもんの声で締めくくった

    例年授賞式に出席している石原慎太郎都知事は残念ながら今回は欠席。関谷保夫副知事が「21世紀の芸術の一端を担うアニメ産業、その礎は人材であります。世界競争に勝ち抜くには優れた人材を発掘し、磨き上げることに産業界と教育機関が連携して、さらなる努力が必要だと思います。次回も世界に誇れる優秀な作品に出会い、東京から世界の子供たちに夢を発信できることを期待しています」と知事の言葉を代読し、式を締めくくった。

    第6回東京アニメアワード ノミネート部門受賞作一覧
    賞名 受賞作・受賞者
    アニメーション オブ ザ イヤー 時をかける少女
    テレビ部門/優秀作品賞 コードギアス 反逆のルルーシュ
    涼宮ハルヒの憂鬱
    DEATH NOTE
    劇場映画部門/優秀作品賞 あらしのよるに
    パプリカ
    オリジナルビデオ部門/優秀作品賞 トップをねらえ2!
    FREEDOM
    カーズ
    監督賞 細田守(『時をかける少女』)
    原作賞 筒井康隆(『時をかける少女』)
    脚本賞 奥寺佐渡子(『時をかける少女』)
    美術賞 山本二三(『時をかける少女』)
    キャラクターデザイン賞 貞本義行(『時をかける少女』)
    声優賞 平野綾(『涼宮ハルヒの憂鬱』)
    音楽賞 平沢進(『パプリカ』)
    第6回東京アニメアワード 公募部門受賞作一覧
    賞名 受賞作品 受賞者
    公募作品グランプリ Flutter ハウィ・シア(Howie Shia)
    一般部門/優秀作品賞 うんぴつ 山路直樹
    東京リベンジ 日高亜矢
    RUNNINGMAN 児玉徹郎
    学生部門/優秀作品賞 悲しい朝ごはん 一瀬皓コ
    トキヲの兄弟 上乗直子
    ドルタプ物語 ホ・ジョン(許琮)
    特別賞 記憶 湯浅康生
    [kuromame] the magic world 斉藤栄子
    A・I・I賞 喫茶店ロプノール外伝 愛子ファイティン 前原薫
    TOKYO MX賞 かにねずみ 藤原智樹
    東京ビッグサイト賞 SALADIN THE MOVIE Trailer Multimedia Development Corporation
    日経エンタテインメント!賞 サルとギター 椙本晃佑
    第3回功労賞
    受賞者 プロフィール
    荒井和五郎(故人) 影絵アニメ・人形アニメ作家(『黄金の鈎』構成・撮影)など
    今田智憲(故人) 元東映動画社長(『銀河鉄道999』製作総指揮など)
    川本喜八郎 人形アニメ作家(『NHK人形劇 三国志』人形美術)など
    熊川正雄 アニメーター・アニメ演出家(『少年猿飛佐助』原画など)
    小山禮司(故人) アニメーション美術作家(『わんぱく王子の大蛇退治』美術など)
    坂本雄作(故人) アニメーター・アニメ演出家(『鉄腕アトム』原画・演出・脚本など)
    芹川有吾(故人) アニメ演出家(『サイボーグ009』脚本・演出など)
    大工原章 アニメーター(『わんわん忠臣蔵』作画監督など)
    辻真先 脚本家・作家(『鉄腕アトム』脚本など)
    古沢日出夫(故人) アニメーター・アニメ演出家(『ガリバーの宇宙旅行』原画監督など)
    椋尾篁(故人) アニメーション美術作家(『母をたずねて三千里』美術監督など)
    村田耕一(故人) アニメーター(『セロ弾きのゴーシュ』製作など)
    ドラえもん(旧)声優チーム(大山のぶ代・小原乃梨子・野村道子・肝付兼太・たてかべ和也) -

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