【インタビュー】

日本版SOX法の施行間近 ! これからのプリンタに求められるもの

    寺田祐子  [2007/03/05]

    金融商品取引法、いわゆる日本版SOX法の施行が迫っている。2009年3月期より、上場企業およびその連結子会社を対象に施行される。対応にかかるコストを懸念する企業も多い一方、企業競争力や企業価値を高める好機と捉える企業も少なくない。沖データもセキュリティ機能を強化したビジネスカラープリンタ「C8800dn」を1月に発表。プリンタ業界では珍しいセキュリティという視点で、一般オフィス市場向けカラープリンタ市場でのシェア拡大を狙う。そこで、沖データ国内営業本部副本部長舘守.氏にプリンタにおける情報漏えいの危険性やセキュリティの重要性について話を聞いた。

    沖データ国内営業本部副本部長舘守.(たちまもる)氏。1977年に沖電気工業入社、1990年からプリンタ事業の販売・商品企画・マーケティング・市場戦略を担当。日本DTP市場におけるMICROLINEブランドを確立させ、1994年にプリンタ事業部門を分社・独立させた「沖データ」設立を推進。2000年にグローバルな経営戦略を担当し、2005年より国内営業本部副本部長に就任。国内オフィス市場開拓を指揮

    -日本版SOX法施行の影響は

    舘氏:日本版SOX法で求められる実務は、社内の内部統制についての文書化やリスクの洗い出し、内部統制されているかどうかの診断など幅広く、財務諸表と一緒に内部統制報告書を提出するのは、あくまで最後の結論にすぎません。このように積み重ねが重要であり、基本的にはIT関係でコントロールかけるのが最も効果が高いのです。IT自身に不正アクセス、処置の間違いがあれば、内部統制が根本的に曲がっていくからです。

    - C8800dnのユーザーの反応は

    舘氏:(システムの)上位からコントロールを掛けるより、こちらの方が低コストで効果が迅速に現れると好評価を受けました。また、プリンタ側でガードが掛かるということで「珍しい」と驚かれました。ネットワークやサーバなど上位からコントロールかけるのが従来の考え方であり、これを末端から順番に鍵をかけるというのは、珍しいという声につながったのではないのでしょうか。しかし、極端な話、上位のサーバやネットワークで監視しても、分解すればハードディスクだけでも取り出せます。このように、ネットワークで監視されていたとしても、プリンタ自身にセキュリティが掛かっていないと安全ではありません。私どものプリンタは、情報漏えいを防ぐだけではなく、犯罪行為への事前のけん制につながる所まで強化しています。

    -プリンタ業界でセキュリティへの対応はどれくらい進んでいるのか

    舘氏:プリンタは出力だけの機械と思われがちで、プリンタ側でセキュリティをかけるという認識は薄いのが現状です。一方で、コピー機メーカーの対応はプリンタ業界に比べて進んでいます。それは、MFP(複合機)は入力と出力の両方の機能があるため、MFPのハードディスク内の情報を守ろうという流れがあるからです。しかし、NPO法人の日本ネットワークセキュリティ協会の調べによると、日本での情報漏えい事件の約半数は紙によるものであり、プリンタ出力によってなんらかの事件が起きているという実情があります。もし盗まれれば、企業の存続危機につながる可能性もあるのです。

    -企業への売り込みは

    舘氏:2004年までは、カラーページプリンタの販売の主力を印刷業界や流通業界などカラープリンタがないとビジネスが成り立たない業界に置いてきました。2005年からは一般オフィス市場向けのカラーページプリンタにも力を入れはじめました。日本版SOX法の施行に向け、セキュリティの重要性が高まる中、セキュリティ機能を搭載したプリンタを提供することは、非常に時宜を得ており、その対応を強化することで、他社との差別化を図り、私どものプリンタの良さをアピールすることができると考えています。これは、金融機関はじめ、セキュリティありきのオフィスに導入を決めてもらった一番のポイントとなったことからも言えるでしょう。利用者の真のニーズがセキュリティソリューションに向かっています。私どももセキュリティソリューションが企業価値や競争力を高めると確信しています。

    -今後の品揃えは

    舘氏:セキュリティを高めた商品と低価格を優先してセキュリティ機能を省いた商品の2種類は常に揃えていく予定です。A4機カラー、A3機カラー、マルチファンクション、モノクロなど順次対応していきます。設計段階から認証ステージを取らなければならないコモンクライテリア(ISO/IEC15408)のレベル3を3月末にも取得する予定です。C8800dnはこの認証取得にあたり、ハードディスクに蓄積するデータの暗号化による保護に加えて、ハードディスクを本体から外して別のプリンタに入れても読み込めなくするといった機密保護機能やデータを自動的に消去する機能を備えています。また、コモンクライテリアとは別にICカード認証印刷やログオン情報強制印刷、ProtecPaperプリンティングソリューションといった印刷に関するセキュリティにも対応しております。また、クリエイティブなマーケットに向けて販売しているマイクロラインシリーズに対しても、セキュリティ対応強化を今後実施していく予定です。

    セキュリティ機能を強化したA3ラーページプリンタ「C8800dn」(281,400円)。昨年発売された「C8600」をベースにしており、デジタルLED方式とシングルパスによるカラー26ppm、モノクロ32ppmの高速印刷を実現している。ポストスクリプト3エミュレーションも新たに搭載し、MacやUNIXとの親和性もさらにアップしている

    オプションのセキュリティキットの追加により、さまざまな機能強化を図ることができる。
    写真は、非接触ICカード技術方式であるFeliCa対応の認証印刷機能を搭載した状態。パソコンから送信した印刷データは、本人が認証カードをカードリーダにかざすまで印刷は実行されない

    ユーザ情報を印刷し情報流出を抑止するログオン情報強制印刷や独自のドットパターンを生成して、背景地紋としてプリントできるProtecPaperプリンティングソリューションなども利用できる

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