【レポート】

ISSCC 2007 - 各種UWB規格準拠の送受信回路の微細化・低消費電力化が進む

    佐藤広生  [2007/02/14]

    ISSCC 2007の2日目に行われた論文セッション「UWB & mm-Wave Communication Systems」(セッション番号6)では、オランダ NXPセミコンダクタ社、シンガポールのマイクロエレクトロニクス研究所、マサチューセッツ工科大学などから、各種UWB規格に準拠したRFフロントエンド回路が発表された。UWBにおける通信は妨害波の影響を取り除く技術が重要視されているが、低い消費電力・単純な回路構成でそれを実現するための、様々な手法が紹介された。

    NXPセミコンダクタ社の講演(講演番号6.1)は、65nm CMOSプロセスを使ってWiMedia規格に準拠した送受信フロントエンド回路を構成したもので、規格で定められているBand Group 1 (3432MHz~4488MHz) と Band Group 6 (7656MHz~8712MHz) の両方に対応する。Band Group 6 は、米国・日本・ヨーロッパで使われる周波数帯域だ。この送受信フロントエンド回路は、アナログのパッシブミキサとトランスインピーダンスアンプを使った典型的な構成で、VCOにリングオシレータを使っている。入力段のLNAには、パッシブトランスを使った同相・差動変換回路が含まれており、RF入力が同相となっているのが1つの特徴だ。回路全体のS11 およびS21は、3GHzから7GHz までほぼフラットな特性を実現している。従来の発表は90nmプロセスや0.18umプロセスが多く、2平方mm以上の面積を必要とするものが多いのに対して、この講演では65nmプロセスを用いれば、1平方mmの面積でほぼ同等の性能が実現できることが説明された。

    マイクロエレクトロニクス研究所の講演(講演番号6.2)は、DS-UWBをターゲットとしたものである。従来は 3~5GHz の低域バンド(LB)を使うものが多かったが、発表された構成は6~10GHzの高域バンド(HB)を使い、周波数間干渉の問題を低減しつつ、回路の単純化を図っている。送信側はDSBアップコンバージョンでUWBパルスを生成し、受信側はI/Q SSB ダウンコンバージョンで復調を行う。周波数変換はいずれもアナログのパッシブミキサを使用しており、4GHzと8GHzのLO信号が使われる。LO信号の生成にはInteger-N PLLとQuadrature VCOが使われているが、消費電力を削減するために、PLLループの中に1/2分周器を入れ、1個のPLLで8GHzと4GHzという2種類の周波数を取り出している。試作は0.18um CMOSプロセスで行われており、ミキサのドライバアンプにカレントリユースを用いるなど、その他の部分にも積極的に盛り込まれた低消費電力化技術の効果により、受信時76mA、送信時55mAという消費電流値を達成している。

    マサチューセッツ工科大学の講演(講演番号6.3)は、センサネットワーク等の消費電力要求の厳しい多数の小型無線機器をターゲットに、2.5nJ/bitのエネルギー効率を達成したUWB受信回路である。1フレームの中の30nsのタイムスロットに対して、PPM変調で2個のUWB パルスを入れて通信を行うもので、電力消費の大きいRF PLLを使わず、30MHzのクロックのみで動作する。また、LNA、ミキサ、ラッチ回路はすべて2ns以内に電源を切ることができるような構造になっており、信号受信時以外の電力消費を大きく削減しているところが特徴的だ。瞬時電力は、0.65V単一電源で35.8mWという数字が示された。

    関連記事

    関連サイト

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

        イチオシ記事

        新着記事

        特別企画

        マイナビニュースマガジン